カギは問いの立て方 ビズリーチ生みの親の課題発見力『突き抜けるまで問い続けろ』

「課題発見力」が注目を集めている。既存の問題を解決するのではなく、未知の課題を見つける力のことだ。現代のような成熟社会では「課題」そのものが見えにくいことが背景にある。

課題発見に欠かせないのが「問いを立てる力」だ。「なぜこうなっているのか」「社会には何が必要なのか」と疑問を持ち、解決すべき課題を探り当てる。本書『突き抜けるまで問い続けろ』は、あるスタートアップの試行錯誤を通して、課題発見のための考え方と行動を明らかにするノンフィクションだ。

主人公は南壮一郎氏。転職マッチングサービス「ビズリーチ」を中核事業とするビジョナルの創業者である。同社は2021年4月に東証マザーズ市場への上場を果たした、近年勢いのある新規株式公開(IPO)企業の一社だ。本書では、南氏がどのようにビズリーチを構想し、事業を成長させてきたか、その途中の苦労話も含めて描かれている。南氏本人だけでなく、楽天の三木谷浩史氏など関わりの深い経営者、ビジョナルを支えた関係者にも丹念に取材をし、問いを立てる力の具体的な中身をあぶり出していく。

著者は働き方や社会課題の解決などをテーマに取材を続ける気鋭のノンフィクションライターである。

求職者と企業が直接つながる

2009年にサービスを開始したビズリーチの特長は「ダイレクトリクルーティング」だ。オンライン上で、求職者と求人企業が直接つながる仕組みである。それまで求人広告か人材紹介会社を利用するしかなかった日本の転職市場にとって、これは画期的だった。求職者、求人企業の双方に情報量と選択肢の幅が大きく広がった。

構想のきっかけには南氏の実体験がある。南氏が人材紹介会社を通じて転職活動をしていた時、多数のヘッドハンターから紹介される仕事が、業種も職種もバラバラ。「なぜ全員言うことが違うのか」と疑問を抱いた。

第三者に依存した仕事選び、転職業界の不透明性に不満をもった南氏は、日本の働き方の実態を徹底的に調査。雇用の制度疲労や生産性の低さといった問題に対し、企業と個人が直接つながるプラットフォームがあれば、個人の主体的なキャリアづくり、ひいては働き方の選択肢が広がると確信する。そして、事業づくりに動き出すのだ。

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