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はやぶさのタッチダウンを見守る(中央が川口氏)=JAXA提供

エンジンの故障をはじめ数多くのトラブルに見舞われながら、困難を乗り越えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネージャを務めた、元シニアフェローの川口淳一郎氏は、小惑星からサンプルを持ちかえる世界初の試みを成功に導いた。川口氏の「仕事人秘録」の第13回では、はやぶさのイトカワ着陸成功の裏話を明かします。

◇  ◇  ◇

小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還するために、イトカワに滞在できる期間は3カ月しかなかった。

予定していた2007年に地球に戻るには05年11月末にはイトカワを出発しなければなりません。9月に到着して慌ただしい3カ月が始まりました。

着いてみるとイトカワの姿は予想とはかなり違いました。表面はゴツゴツしていてクレーターもあまりありません。形はジャガイモやラッコのように細長くくびれていました。上空から詳しく観測して着陸地点を探しましたが、できそうな場所は極めて限られます。通信のために地球に向いている場所という制約もありました。姿勢を制御するリアクションホイールの故障による問題も加わります。

11月4日に1回目の着陸リハーサルをしましたが、降下途中で緊急上昇します。誘導方法の再検討が必要なことが分かりました。2回目のリハーサルもうまくいきません。なかでも横方向の姿勢制御がうまくいかないことが問題でした。

3回目のリハーサルの後、はやぶさを製造したNECの白川健一さんたちが「地形航法」という新しい誘導方法を提案します。原理はこれまでと同じですが、計算機に任せていた制御・管理に人間の手による処理を加えるものでした。人間が絡むと時間がかかりそうですが、逆にこの方法で処理速度は飛躍的に上がり、イトカワへの着陸に挑む用意ができました。

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