ここ2~3年でカメラ撮影機能の高画質化競争が進んでいたスマホ業界に、シャープの「AQUOS R6」が大型センサーという新たな手法を持ち込んだ。複数のレンズを搭載したスマホに比べて高画質と言えるのか。シャープに新機種開発の経緯を聞くとともに、実機をテストした。

シャープ製の「AQUOS R6」。一括払いの場合、NTTドコモでは実勢価格11万5632円(税込み)、ソフトバンクでは同13万3920円(同)で販売
シャープ製の「AQUOS R6」。一括払いの場合、NTTドコモでは実勢価格11万5632円(税込み)、ソフトバンクでは同13万3920円(同)で販売

 シャープは、国内のAndroidスマホ市場でここ数年、販売台数トップを走り続けている。ただ、売れているのは3万円台の「AQUOS sense」シリーズが中心で、上位機の「AQUOS R」シリーズは、ソニーの「Xperia」シリーズやサムスン電子の「Galaxy」シリーズに比べると話題になることが少なかった。

 しかし、2021年6月発売の「AQUOS R6」は、誰もが他社製品との違いを感じ取れる2つの突き抜けた特徴を備えている。1つが、高級コンパクトカメラ並みの大型センサー(撮像素子)を搭載した高性能カメラ。もう1つが、従来モデル比(AQUOS R5G)で2倍となる240ヘルツで駆動する有機EL(OLED)ディスプレーだ。

 シャープ 通信事業本部パーソナル通信事業部の小林繁事業部長は「AQUOS Rシリーズは17年の初代機から、Androidのバージョンアップを2年間保証し、120ヘルツ駆動の倍速液晶を搭載するなど、革新的なスマホだった。しかし、他社のハイエンド機に比べると地味な特徴が多かったかもしれない。今回は、カメラとディスプレーを同時に刷新できるタイミングだったので、華やかなものを作ってやろうという気概があった」と、AQUOS R6に込めた熱意を表現する。

 特に話題を集めているのは背面のメインカメラだ。前モデルのAQUOS R5Gでは、標準カメラ(1220万画素)に1/2.55型のCMOSセンサーを採用。また、超広角カメラと望遠カメラも搭載していた。これをAQUOS R6では、5倍以上大きくなった1型のCMOSセンサー(2020万画素)1つに変更した。これに合せてレンズを6枚構成から7枚構成に増やし、大きなセンサー周辺部にもきちんと光が当たるようにした。

 このため、デザイン的にもレンズ部が少し出っ張る形となり、存在感を示している。通信事業本部パーソナル通信事業部商品企画部の楠田晃嗣課長は、「カメラをどのように進化させるか議論をしている中で、『やはりしっかりしたデバイスを使わないと劇的な画質向上は難しい』という結論になった。そこで、スマホ用のイメージセンサーではなく、思い切って通常のコンパクトカメラ用の大型センサーを選んだ」と開発の経緯を振り返る。

カメラのレンズはかなりの存在感がある。カメラの右側にあるのはLEDライトと測距用のレーザー光照射部と受光部
カメラのレンズはかなりの存在感がある。カメラの右側にあるのはLEDライトと測距用のレーザー光照射部と受光部

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