ひらめきブックレビュー

日本は「敬意」の国 世界101カ国の意外な価値観 『世界を知る101の言葉』

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新型コロナウイルス禍で海外を自由に訪れることができないなか、読書を通じて、ちょっと変わった視点から世界を眺めてみるのはいかがだろうか。本書『世界を知る101の言葉』(鹿田昌美訳)は世界101の国々について、それぞれの国を特徴づける「価値観」を単語ひとつで表し紹介するユニークな一冊だ。

ブラジルは「愛」、トルコなら「ホスピタリティ」と言葉が並ぶ。その国の人々が何を大切にしているのかを知ると、遠い異国もぐっと身近に感じられる。著者は、英BBCワールドサービスやロイター通信で、ジャーナリストとして活動してきたDr.マンディープ・ライ氏。各国の報道に携わり、これまでに訪れたのは150か国を超える。

■荒廃したコンゴの「可能性」

本書の旅は中国から始まる。「実利主義」が中国を動かしている価値観だ。特に政治面では、「自国の最大利益を考えての行動を、外部からの懸念や抗議に邪魔させない」のが中国流だと著者は説く。こうした姿勢は、インターネットにかかる厳しい検閲や、香港に対する規制などに表れているという。

賛否両論ある実利主義だが、中国が変化の激しい時代に動じることなく、経済大国へと発展したことは間違いない。その国を方向づけている価値観を知ることで、政策やカルチャーに対する理解をいっそう深めることができる。一方、印象ががらりと転ずる国もある。

例えば、アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国。度重なる紛争で国は貧しく、ルワンダとの国境では今も銃を持った男たちが歩き回る。戦争で荒廃した「貧しい国」のひとつだ。しかし、この地を表す価値観として選ばれたのは「可能性」である。

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