会議の姿は芝居? 日本のフツー、外国人視点で見直す多様なメンバーと働く 職場の対話術(5)

2021/7/19
国内の職場でも外国人の同僚と働く人が増えつつある(写真はイメージ=PIXTA)
脱・同質性の時代。様々なバックグラウンドを持つ人と共に働くことが当たり前となった。女性、シニア、外国人、障がいのある人、性的少数者(LGBT)、子育てや介護を担う人………。多様なメンバーが持ち味を生かしながら気持ちよく働くには、それぞれが互いの持つ背景を知り、尊重し合うための「対話」が必要だ。コロナ禍で突然迎えたテレワーク環境下、先進企業では、どんなコミュニケーションの工夫があるのか。ジャーナリストの野村浩子氏が報告する。

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日本の職場でも外国人社員がいる風景が、当たり前になりつつある。

第5回は、そんな職場の1つ、2021年4月に社名変更をしたソニーグループの取り組みを紹介しよう。

日本で働く外国人社員は、コミュニケーションにおいて、どんな違和感を抱いているか――。ソニーグループはここに着目し、19年から異文化コミュニケーションのワークショップを開いている。取り組みから浮かび上がった、外国人社員との対話で留意したいこととは。

知られていない「日本で暮らす外国人の悩み」

同社には、グループ全体の国内有志によるダイバーシティ組織「DIVI@Sony(ディビ アット ソニー)」がある。ソニーグループの社員で、都内にある拠点、R&Dセンターで働くドイツ人のヘンチェル・ミヒャエルさん(32)は、同組織のグローバルチームでリーダーを務めている。グローバルチームは、日本に住む外国人社員が働きやすい環境づくり、社員のグローバルマインドの醸成を目指す。

ミヒャエルさんはあるとき、日本語学校の先生と話すなか、多くの日本人が日本で暮らす外国人の悩みについて知らないことに気づいた。そこから、「互いの理解を深める活動をしたい」とDIVI@Sonyのメンバーに手を挙げた。

20年度、異文化コミュニケーションワークショップを開くにあたり、ミヒャエルさんはある仕掛けを考えた。自身や同僚外国人の体験をもとに綴(つづ)った「ある外国人ステファンの日記」を材料に、議論をしようと考えたのだ。

まずはこの日記の一部を紹介しよう。

◆「ある外国人ステファンの日記」より

「アニメの1シーンを体験しているようだ」

イラストはイメージ=PIXTA
あるドイツ人社員ステファンは、日本で初めて飲み会に参加したとき、こんな不思議な気持ちになった。日本に出張したときのこと、初日にチームのメンバーがおいしい日本酒と日本料理の店に連れていってくれた。

和やかな雰囲気のなか、メンバーはリラックスして最近の流行や家族の話などをしていた。そのなかで男性社員らが自分のことを「俺」と呼んでいるのが聞こえてきた。語尾は、「そうだよね」とか「美味(おい)しいね」など、「よね」や「ね」が使われている。

初めて耳にする日本語で驚いた。メンバーとはビデオ会議で顔を合わせてきたし、ビジネス日本語も学んできて会話に不自由はなかった。しかし、こうした会話は初めてだった。「アニメかドラマの1シーン」に飛び込んだような気持ちになった。

21年2月17日と25日、DIVI@Sonyはオンラインでワークショップを開いた。

テーマは「フォーマルとインフォーマルのコミュニケーション」。日本オフィスに勤める外国人社員、日本人社員ら計70人が参加した。

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同僚らの体験集めた「ある外国人の日記」からクイズ