経験・勘・度胸は不要 AI人材を生かすマネジメント『管理職はいらない』

新型コロナウイルス禍により企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、その本丸としてAI(人工知能)が注目を集めている。そんな中、「AIに仕事が奪われないか?」「スキルが陳腐化しないか?」と不安に思う人も多いはずだ。

これに対して、「AIをやみくもに怖がらず積極的に活用するマインドを持て」と明快なメッセージを送るのが本書『管理職はいらない』である。テレワークや組織のフラット化など、ビジネスを取り巻く潮流を俯瞰(ふかん)し、AIとの協働が当たり前になる職場風景を具体的に描写。マネジメントスタイルをアップデートし、新しいキャリア(シン・キャリア)を築く重要性を説く。衝撃的なタイトルだが、要は「AIを怖がる」管理職はいらない、ということだ。

著者の野口竜司氏は、ZOZOテクノロジーズでAI事業を管轄し、複数の企業のAI顧問・アドバイザーとしても活躍している。

人とAIの共働きをマネジメントする

著者はまず、今後の企業活動ではAIを駆使した意思決定が主流となると予想する。すでにコンビニの新規出店やスーパーの仕入れなどでは、AIが意思決定を担っている。こうした流れの中で、従来の管理職が果たしてきた強み、すなわち「KKD(経験・勘・度胸)」による意思決定はお払い箱になってゆく。

代わりに重要になるのが、「人とAIの共働きをマネジメント」するスキルだ。部下がAIとの協働をスムーズに行えるようにしたり、適切な業務課題を発見し採用すべきAIツールや人材を見定めたりすることである。

部下のマネジメントであれば、AIに慣れ親しんできた世代「AIネーティブ」(2005年前後以降生まれ)に対しては、管理職が最大の理解者となることが必要だ。AI活用が成果につながるよう、非AIネーティブ社員との不協和音が出ないようにする。

非AIネーティブ社員に対しては、スキルを実装できるよう再教育を行う必要がある。かのAmazonが、従業員に対して「機械学習」(学習により一定のタスクを実行できるようになるAI)を学ばせる取り組みに大きく投資している例もある。つまるところ、管理職自らがAIを熟知していなくてはマネジメントもままならない、と強調する。

注目記事
次のページ
AIの種類は理解できているか