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ライフコラム
ニッキィの大疑問

2021/7/12

ニッキィの大疑問

藤井さん「具体的にこれから何をするのですか」

例えば、台風の到来が予想される場合、河川の上流ではダムの水位をあらかじめ下げ、ためることができる水量を増やす必要があります。これをダムの事前放流と呼びます。

中流や下流域では道路や建物などの地下に雨をためる施設を造り、川に流れ込む水を減らすことが欠かせません。ため池や水田、緑地などを保全することも重要です。

通常国会で4月に成立した流域治水関連法では浸水リスクが著しく高い地域を「浸水被害防止区域」に指定する仕組みも盛り込みました。

指定されると住宅や病院、高齢者施設などの建設は許可制になります。浸水に耐えられる構造で、予想される水位よりも居住空間が高くなる建物でなければ認めません。

洪水を抑えられればいいのですが、街が浸水した場合でも被害をできるだけ小さくしようという発想です。この区域から安全な地域に集団移転する場合には土地造成費を助成する制度もできました。

山口さん「私たちはどう備えればいいでしょうか」

自分の街の状況をまず把握する必要があります。これまで、浸水想定区域を明記したハザードマップは大規模な河川の周辺でしか作られていませんでした。今回の法律で全国の中小河川まで広げることが決まりました。19年の台風で堤防が決壊した都道府県管理の河川のうち、3分の2は浸水想定区域を公表する義務がない川だったためです。

自分の街が危ないとわかったら、停電するリスクも含めて避難時に必要なものを事前に用意しましょう。近所の公共施設や学校など避難する場所も考えましょう。可能ならば近所の一人暮らしのお年寄りなどに声がけできるといいと思います。避難が必要になる場合、市区町村から指示が出ますので、それに従って行動しましょう。

ちょっとウンチク

まちづくりとの連動重要

この10年余りで治水対策を巡る空気は一変した。「コンクリートから人へ」を掲げて2009年に誕生した当時の民主党政権は群馬県の八ツ場ダムと熊本県の川辺川ダムの建設中止を表明した。その後、曲折を経て八ツ場ダムは続行されたが、川辺川ダムは凍結された。

しかし、20年7月豪雨で球磨川が氾濫し、熊本県は川辺川ダムを容認する姿勢に転じた。八ツ場ダムは19年の台風19号の時に洪水を抑えるのに貢献したといわれる。

その一方で、ダム頼りの治水にも限界があることもわかってきた。危険な地区で住宅などの建設を抑えるまちづくりとの連動が重要になる。(編集委員 谷隆徳)

■今回のニッキィ
山口文子さん 西日本豪雨や台風19号で身近な人に災害の危険が迫り、備えの重要性を感じている。現在は育児休業中。仕事に生かせればと最近はオンラインでフランス語の勉強を始めた。
藤井智子さん 最近はオンラインの「パジャマ空手」に参加している。午前6時からと早朝ながら、ビデオオフで参加できる気軽さがいいそう。「現状維持で、10年たったら10年若いを目指しています」

[日本経済新聞夕刊 2021年7月5日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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