豪雨水害への備えに新法 危険区域での建築は許可制に
都市部でも急な増水で被害を受けることが増えた(写真はイメージ)=PIXTA
集中豪雨による深刻な被害が発生しているわ。新しい治水対策として、大規模な水害に備えるための流域治水関連法が成立したそうだけど、何が変わるのかしら。私たちはどう備えたらいいのかしら。
政府が打ち出した新たな治水対策について、谷隆徳編集委員が藤井智子さんと山口文子さんに説明した。
藤井さん「豪雨による深刻な被害が増えていますが、なぜですか」
2017年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、19年の台風19号(東日本台風)、20年の7月豪雨と、毎年、大規模水害が発生しています。地球温暖化に伴う海水面の温度上昇が一因のようです。積乱雲が次々と生まれる「線状降水帯」が局地的豪雨をもたらすのが最近の傾向です。
ちょっと前までは豪雨被害というと中山間地での土砂災害が中心でしたが、今では違います。19年10月に東日本を襲った台風19号では国が管理する河川で14カ所、都道府県管理の河川で128カ所も堤防が決壊し、住宅の浸水や倒壊が相次いで多数の死傷者が出ました。大都市部も含めて日本列島全体が水害リスクにさらされていると言っても過言ではないでしょう。
山口さん「流域治水というのは何ですか」
これまで水害を防ぐために、国や自治体はダムを建設したり、河川の堤防を整備したりしてきました。新たにダムを造るのには費用も時間もかかり、都市部で堤防を強化するためには周辺住民の移転が必要になる場合もあります。そこでダムや堤防だけでなく、川の上流から下流まで様々な対策を積み重ねようという試みを流域治水と呼びます。
今後、世界の平均気温が産業革命前に比べて2度上昇すると、洪水の発生頻度が倍増するという予測もあります。これまでの対策は過去の雨量をベースに考えていましたが、気候変動の影響を加味した総合的な対策にしないと水害を防げないということです。