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カプセルは当初は米ユタ州の砂漠で回収される予定だった=JAXA提供

カプセルは当初は米ユタ州の砂漠で回収される予定だった=JAXA提供

エンジンの故障をはじめ数多くのトラブルに見舞われながら、困難を乗り越えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネージャを務めた、元シニアフェローの川口淳一郎氏は、小惑星からサンプルを持ちかえる世界初の試みを成功に導いた。川口氏の「仕事人秘録」の第10回では、虚実を織り交ぜたNASAとの駆け引きを明かします。

◇  ◇  ◇

小惑星探査機「はやぶさ」のライバルとなる米航空宇宙局(NASA)には共同プロジェクトを呼びかけた。

はやぶさが正式に承認される1995年の前年、NASAにひそかに「共同でやらないか」と打診しました。小惑星からサンプルを持ちかえるアイデアはすでに国際会議でも発表していたので、NASA側も日本がサンプルリターンの構想を持っていることは知っていました。

共同研究会の時の小惑星ランデブー計画のようにアイデアを横取りされないためにはどうしたらよいか。日本主導のプロジェクトにパートナーとして巻き込めば、NASAが単独でやると言い出さないだろうと考えたのです。リスクの高い計画なので、NASAも簡単には手を出せないはずだという読みもありました。

NASAが開発した無人探査車をはやぶさで運んで小惑星に投下することや、はやぶさが持ちかえる小惑星のサンプルの10%を提供することなどを提案。一方でNASAが所有する施設で地球に戻るカプセルの耐熱素材の試験をさせてもらうことや、遠い宇宙を飛行するはやぶさを追跡する支援などを依頼しました。

最終的にはNASAははやぶさに無人探査車を搭載する計画を中止しました。共同計画の柱を失ったのですが、大先輩のNASAを相手に「わたしたちはこれが提供できるから、この部分で力を貸してほしい」という姿勢を貫けたことは誇りに思っています。

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