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ライフコラム
ニッキィの大疑問

2021/6/28

ニッキィの大疑問

野崎さん「実質ゼロはどうやって実現するのですか」

ガソリン車の販売や石炭火力発電所の建設を禁止するなど、規制強化がひとつのやり方です。税や補助金などで脱炭素を加速する誘導的な手法もあります。エコカーへの減税や太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーなどへの補助金は実施済みですが、さらに手厚くしたり効果を高めたりできるよう工夫することも考えられます。

CO2排出に値段をつけるカーボンプライシングも検討されています。欧州では事業所ごとに排出の上限を定める「排出量取引制度」があります。上限を超えて排出する事業所は、排出枠を取引市場から購入しなければなりません。排出削減に成功して余った枠は売ることもできます。排出量取引は米国や中国でも導入が進み、将来は世界規模の取引市場が見込まれます。

石炭など化石燃料に課税する「炭素税」もカーボンプライシングの一手法です。日本では「温暖化対策税」がありますが、化石燃料の使用に抑制をかけるほど高額ではありません。高くすれば化石燃料消費にブレーキがかかる一方、生活や産業にコスト増のかたちではね返ります。

小川さん「日々の生活では何が求められますか」

気候変動はグローバルな大課題ではあるものの、一人ひとりの消費者の行動でできることがあります。気候変動対策につながる商品やサービスは割高なことが多いかもしれませんが、選択により企業や国に脱炭素重視のメッセージを送ることです。

例えば住宅なら断熱性能が高い家です。太陽電池付きでエネルギー収支ゼロを目指したZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)があります。給湯器やエアコンなども省エネ製品を選べます。再エネ電気を多く提供する電力会社から電気を買うこともできます。ほかにも自治体に意見や提案を寄せることは、脱炭素社会づくりに貢献するはずです。

ちょっとウンチク

経済的誘因に工夫の余地

野村総合研究所の予測によると、30年度にZEHの累積戸数は159万戸だ。このままでは国の政策目標とされる313万戸に遠く及ばない。

住宅の新築や購入は消費者が温暖化対策に大きく貢献できる機会だが、たびたびあることではない。省エネ住宅への補助金などとともに、脱炭素が不動産価値の上昇になるようなインセンティブ(誘因)が必要だと野村総研では指摘する。リモートワークの普及を契機に家庭、業務(仕事)、輸送(通勤)という従来の分類を超えて生活全般での脱炭素ライフスタイルを追求することも大事だろう。(編集委員 滝順一)

■今回のニッキィ
小川 めいこさん ケアマネジャー。職場の働き方改革に伴い空いた時間を、社会保険労務士など資格の勉強に使う。「目標は合格だが、年金などの知識はいまの仕事にも役立つので、生活の一部になっている」
野崎 典子さん 航空産業コンサルタント。新型コロナウイルス感染拡大とともに、ヨガに一層取り組むようになった。週2~3回、教室にも足を運ぶ。「糖質オフなどにも気を配り、集中力が高まったと思う」

[日本経済新聞夕刊 2021年6月21日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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