突き抜けた異才よ育て 東大が小中学生に課す50の試練『学校の枠をはずした』

小中学生の子どもたちが、ハサミやピンセットを使ってイカを解体している。彼らの目的は「イカの墨袋を破らずに、昼食用のパエリアを作る」ことだ。とはいえ、墨袋がどういうものか、そもそもイカをどう解体すればいいのか。知っている子どもは誰もいない。教科書なんかもない。手探りで、悪戦苦闘していくしかないわけだ。

こんな一風変わった取り組みを行っているのが「異才発掘プロジェクトROCKET」である。「Room Of Children with Kokorozashi and Extra-ordinary Talents」の頭文字を取った。志(こころざし)と特異(ユニーク)な才能を持った子どもたちの集まる場所を掲げている。東京大学先端科学技術研究センター中邑賢龍教授の研究室と、日本財団との共同事業として、2014年に始まった。

ROCKETが目指すのは「突き抜けた異才」を育てることだ。学校教育になじめない小学3年~中学3年の中から、数十人が参加者として毎年選ばれる。彼らは特定の分野に突出しているが協調性がなかったり、読み書きが困難でコミュニケーションの取り方が周囲と異なっていたりするなど、ある種、独特な一面を持つ。そのユニークな個性や能力がつぶされず、大きく伸びるような環境や学びを提供するのが、このプロジェクトの狙いである。

本書『学校の枠をはずした』は、そのROCKETの約5年間の活動の軌跡をまとめたものだ。「六本木ヒルズの高さを測れ!」「卵の殻から中身だけを取り出せ!」など、子どもたちが取り組んだ50のミッションを、写真と文章でエッセー風に伝えている。

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