減便による人員の余剰も、異業種への出向というウルトラCで乗り切ろうとしている。コールセンターに出向しているJALの客室乗務員の例では、顔の見えない接客のノウハウが、本業にも生かせるとの手ごたえを得ているようだ。同時に、受け入れ先の企業も、JAL社員のホスピタリティや勤勉さに影響を受けていると相乗効果を語っている。

「人」が支えるエアライン

パイロットや客室乗務員、整備員のスキルは専門性が高く、長期的な計画や育成なしには得ることができない貴重な資産。だからANA、JALは、給与やボーナスのカットはしても人員削減は行わない方針を表明している。海外の会社がリストラを辞さないことを踏まえると、日本のエアラインが持つ矜持(きょうじ)が垣間見える。

さらに航空会社には、熱心なファンがいる、と著者は強調する。ファンが有志で立ち上げたFacebookのグループが、ANAと交渉し、感謝・応援フライトを実現させる、国際線ユーザーが代わりに国内線を頻繁に使う、観光せずに飛行機で日本一周するなど、様々な方法で応援をしているのだ。

私自身、以前はよく海外出張で世話になったため、エアラインを応援したいという気持ちを強く抱いた。かつてのように自由に旅行や仕事に行くことができる日が待ち遠しくなる一冊だ。

今回の評者 = 高野裕一
情報工場エディター。医療機器メーカーで長期戦略立案に携わる傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。長野県出身。信州大学卒。

コロナ後のエアライン

著者 : 鳥海 高太朗
出版 : 宝島社
価格 : 1,650 円(税込み)

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