コロナで6年ぶり地価下落 どうなる?不動産市場

東京ではオフィス価格への影響が大きい空室率が急上昇している(写真はイメージ=PIXTA)
東京ではオフィス価格への影響が大きい空室率が急上昇している(写真はイメージ=PIXTA)

新型コロナウイルス禍の影響を受けて、地価が下落していると聞いたわ。どんな理由があるのだろうか。私たちの生活様式の変化も地価の下落に影響しているのかな。

コロナ禍が不動産価格に及ぼす影響について、木崎真那さんと黒木友紀さんに太田康夫編集委員が解説した。

木崎さん「足元の地価の情勢はどうなっていますか」

2021年1月1日の公示地価(全用途)は6年ぶりに下落しました。感染拡大の影響で経済活動が停滞したためです。大きかったのは緊急事態宣言発令に伴い、時短営業などを求められた飲食店舗や対面による物販の不振です。不動産価格は物件から上がる収益性に左右されますが、そうした業種が入る商業施設の収益性が低下しました。

もう一つ響いたのは訪日観光客の減少です。この数年、訪日観光客の急増が人口減少に伴う地価の下落圧力を和らげてきましたが、その構図がコロナで一変しました。影響が顕著に出たのが大阪です。商業施設が集積する繁華街・ミナミでは国内外の観光客が減り、前年急上昇した地価が一転大幅下落に転じました。

黒木さん「コロナ禍による生活様式の変化の影響は」

感染拡大を防ぐため世界的に在宅勤務が推奨されています。英金融機関バークレイズの20年12月のリポートは、欧米でオフィス需要が10~20%減るとしています。オフィスビルなどに投資する米国のオフィス不動産投資信託(REIT)の20年の下落幅は18%と、REIT全体の下落幅の5%を上回りました。

またロックダウン(都市封鎖)で商店などが休業に追い込まれ、ネット通販の利用が加速しました。米国では収益性が落ちた地方モールに投資するREITの20年の下落幅は37%と、とりわけ大きくなっています。

木崎さん「そうした動きは日本でも今後広がりますか」

東京では高い賃料を払い続けられなくなったテナントの撤退などで、オフィス価格への影響が大きい空室率が急上昇しています。しかし欧米に比べ在宅勤務の実施比率は低めです。コロナ収束後には在宅勤務の急速な普及は一層期待しづらく、在宅勤務の不動産価格への影響は当面は欧米より限定的になりそうです。

一方、ネット通販は高齢者にも利便性が広く認識されました。今後も拡大が見込まれ、競合するリアル店舗の閉店・撤退が増えかねません。都市部の大型商業施設や地方のショッピングモールなどの収益性が低下して、そうした施設がある地域の不動産価格に下落圧力がかかりそうです。

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