すると主体性という価値観を重視していることや、「生産性を上げてほしいと伝えればできるはず」という無意識の前提があることに気がつくだろう。だが、他人である部下Aには、自分の価値観や前提は通用しない。だから、伝えただけでは効果がなくて当然なのだ。

そこで例えば、Aがどのように理解したのかを自分の言葉で話してもらう、Aの持つ価値観を聞くために対話する、といった「一方的」とは違うアプローチを採ることができる。このように、自分の内面や経験から行動を変えるヒントを探り当てるのだ。

「学習する組織」に基づく考え

ステージが変わったり、未知の世界で過去の成功体験が通用しなくなったりするときに、リフレクションは有効だ。状況を行き詰まらせている自分の思考の前提や価値観に気がつき、変化を起こすことができる。

じつは本書の内容は、マサチューセッツ工科大学のピーター・センゲ氏が提唱した「学習する組織」の理論を実践するためのハウツーとして書かれている。学習する組織とは、立場や年齢にかかわらず、誰からも学ぶ姿勢を持ち、一人一人がリーダーシップを発揮するというもの。ビジネスパーソンとして学び、成長を続けるために、参考にしてほしい。

今回の評者 = 若林智紀
情報工場エディター。国際機関勤務の後、人材育成をテーマに起業。その後、ホテル運営企業にて本社人事部門と現場マネージャーを歴任。多岐にわたる業界経験を持つ。千葉県出身。東大卒。

リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術

著者 : 熊平 美香
出版 : ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格 : 1,980 円(税込み)

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