専門家推薦 行って楽しい、再生された廃校12校
全国各地にある廃校が地域交流や地域興しの拠点として生まれ変わっている。自然・農業体験を充実させている施設と、アート展示や工芸体験を楽しめる施設の2分野に分け、参加者にお薦めの施設を専門家に選んでもらった。
<自然と触れ合う>
清流のめぐみ存分に体感 宿泊も
満喫するなら宿泊プランがお薦め。旧校舎の保健室や放送室など校舎に泊まれるほか、バンガローもある。宿泊者限定で、ホタル狩りや動物ウオッチングなど夜の体験メニューも用意。夕食には川エビの空揚げやアオサノリのてんぷらといった川の幸がふんだんに楽しめる。(1)水曜日、7~9月は無休※(2)本館素泊まり大人4500円(3)カヌー体験2800円~(4)0880・54・1230
地元食材の料理に舌鼓
直売所はかんきつ類や梅干しなど品ぞろえ豊富で「南紀の中山間地の恵みをトータルに体験できる」(向笠千恵子さん)。ミカン収穫や地域の農産物を使ったスイーツやジャムづくり講座が人気だ。ミカン栽培の歴史資料館も。(1)無休※(2)素泊まり大人1人3700円~(3)ミカン収穫体験1550円(4)0739・35・1199
北限のブナの森巡るツアー開催
茶摘みや稲刈りなど「地域と連携した体験内容が年々充実している」(斎藤章一さん)体験基本料金(約2時間)1000円(電)0968・27・0102
自然体験に加えて、「天文台での星空観察が楽しい」(井原満明さん)天体教室300円など(電)0287・45・0061
木造校舎を残した宿で農村体験。「人情厚き地元の人たちと交流できる」(熊野稔さん)(電)0889・40・1703
季節ごとの自然体験プログラムが充実。(電)0143・85・2569
<アートを感じる>
校舎まるごと絵本の世界
「集落の住民が育てた野菜などを材料を使ったカフェの食事もおいしい」(井上弘司さん)。美術館は3年に一度、周辺の妻有地区で開催される「大地の芸術祭」の核となる。来年開かれる芸術祭までに展示作品の多くが入れ替わる予定だ。(1)水、木曜日(祝日の場合は翌日)。今年は11月30日まで開館する予定(2)宿泊施設なし(3)入館料は500円(700円)、小中学生は250円(300円)、幼児無料。カッコ内は企画展開催中の料金(4)025・752・0066
多彩なワークショップ 大人も楽しめる
染織工房や木工房があり、宿泊して体験できるコースも。「木造小学校をセンス良く利用」(岡田さん)。体験は3000円~(電)0867・27・3733
陶芸や草木染など「様々な体験をシルバー世代が伝授」(小林和彦さん)(電)0745・93・4400
木造校舎をバイオリンやパン作りの工房として活用。6月1日に創作イベント開催。(電)090・3604・6942
表の見方 数字は選者の評価を点数化。カッコ内は所在地。(1)休館日など。※は年末年始休み(2)宿泊料金例(3)体験プラン例や入館料(4)電話番号 料金は消費税込み。アート1位以外、写真は各施設提供。
■文化や学びの拠点に
文部科学省のまとめによると2011年度までの20年間で、公立の小中学校・高校など約6800校が廃校になった。だが地元の人々から親しんだ校舎を惜しむ声があがり、学んだり地域の良さを再発見したりする拠点として再生させるケースは多い。
一般開放の期間が祭りなどに限られるためランキングから除いたが、選者の推薦が多かったのは飛生アートコミュニティー(北海道白老町)。「飛生芸術祭」(今年は9月7~14日開催)では美術教室のほか音楽や人形劇などが催される。牧郷ラボ(相模原市)は「ひかり祭り」(11月3~5日開催)の中核で約5000人が訪れる。
廃校活用に詳しい地域再生診療所の井上弘司さんは「魅力のある廃校には必ず地域に誇りを持っている人たちの存在がある」と話す。観光もいいが、地元の人とともに活動し、その文化に触れる経験はまた違った喜びをもたらしてくれるだろう。
◇ ◇ ◇
調査の方法 独自の取り組みなどが活発な地方の廃校施設を全国60カ所選び、専門家が(1)自然・農業体験が充実(2)アート展示や工芸体験が楽しめる2分野でお薦めを選出。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)
井上弘司(地域再生診療所所長)▽井原満明(地域計画研究所)▽大亦理絵(フリーカメラマン)▽岡田知子(西日本工業大学教授)▽熊野稔(徳山工業高等専門学校教授)▽小林和彦(沖縄県国頭村地域おこし協力隊)▽斎藤章一(一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構専務理事)▽塩見直紀(半農半X研究所代表)▽向笠千恵子(フードジャーナリスト)▽福与徳文(茨城大学教授)
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