村上さん「副作用軽減策はこれで十分ですか」

長期金利の変動幅をもっと広げたり、誘導対象を10年物から5年物に短期化したりするなどの追加対応もありえます。長めの金利が今よりも上がれば、利ザヤ拡大で金融機関経営にプラスになり、機関投資家が国債投資から得る金利収入も増えるでしょう。

ただ、副作用を軽くする工夫を重ねていけば緩和効果を弱める面もありそうで、副作用を抑えつつ緩和効果も出し続けるという対応には限界もあるのではないでしょうか。政策の手詰まり感が強まりそうな印象もあります。

もちろん2%目標を下げれば今の政策をやめられるかもしれませんが、欧米も2%程度を掲げるなか、日本だけが下げれば緩和姿勢後退と解釈され円高になる恐れがあります。もっとも、物価が上がりにくい構造要因の存在は欧米でも指摘されます。すぐには難しそうですが、2%が目標として適切なのかが海外でも議論されるようになるなら、協調して下げる余地が出てくるかもしれません。

ちょっとウンチク

物価目標、統計のクセ織り込む

金融政策の目的は物価の安定だ。ならば物価目標はゼロ%でも良さそうだが、そうなっていない。物価統計には、実態より高めに出るクセがあるとされるのが理由だ。目標ゼロだと実質的にマイナスを目指すことになってしまう。

プラスを目標とするほうが安心な点も指摘される。中央銀行はインフレには金利引き上げ、デフレには利下げなど緩和策で対処するが、金利に上限はない一方で下限はある。マイナス金利にも限度があるからだ。従ってデフレのほうが厄介で、物価は一定のプラスが望ましいとされる。今は2%程度の目標が事実上の世界標準になっている。(編集委員 清水功哉)

■今回のニッキィ
村上 万里絵さん 団体職員。週2~3回程度、オンラインイベントに参加する。最近は、環境問題に関するセミナーに関心を寄せる。「地域の自然の良さをあらためて感じ、保護しようという思いも強まる」
佐藤 摩耶さん 医療品メーカー勤務。ここ1年、週3回程度の早朝ウオーキングに励む。毎回30分程度、近くの公園などを歩く。「植物の移り変わりに季節を感じる。体調面では冷え性が改善し、寝つきもいい」

[日本経済新聞夕刊 2021年4月12日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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