2021年2月、パナソニック アプライアンス社が「Makuake」でクラウドファンディングを実施したところ、開始からわずか7時間ほどで目標金額の1000万円を上回る金額を集め、同社のロボット320体が完売した。この商品のプロジェクトリーダーを務めるパナソニック アプライアンス社の増田陽一郎氏は、「予想をはるかに超えた反響」と驚く。

クラウドファンディングサイト「Makuake」での価格は、NICOBO(ニコボ)本体と月額利用料6カ月分(980円/月、税込み、以下同)の合計で3万9800円(税・送料込み)。発送は22年3月ごろを予定している
クラウドファンディングサイト「Makuake」での価格は、NICOBO(ニコボ)本体と月額利用料6カ月分(980円/月、税込み、以下同)の合計で3万9800円(税・送料込み)。発送は22年3月ごろを予定している

 今回、人々から多くの賛同を得た商品とは、同社初のコミュニケーションロボット「NICOBO(ニコボ)」だ。本体は直径20センチメートルほどで、体重は1キログラム強。体をなでたり持ち上げたりすると、目を動かし、しっぽを振るなどの反応を示す。

 ニコボは、スマートスピーカーのように機器を操作できるわけでも、IoT家電のように先進的な機能を備えるわけでもない。できるのは、コミュニケーションによってユーザーを笑顔にすること。提供価値は生活の役に立つことではなく、人の心に豊かさをもたらすことだ。

7時間で1000万円以上を集め、320体が完売したパナソニック アプライアンス社の「ニコボ」。目をキョロキョロさせ、しっぽを振って「モコ語」を話す
7時間で1000万円以上を集め、320体が完売したパナソニック アプライアンス社の「ニコボ」。目をキョロキョロさせ、しっぽを振って「モコ語」を話す

関係性を深める「弱いロボット」

 ニコボの開発は、17年に新規事業創出に取り組んでいた増田氏が、「暮らしだけではなく、心の豊かさがこれからの価値になる」と考えてコミュニケーションロボットを模索したことに端を発する。初期段階では、人と対話することによってコミュニケーションするロボットの開発を目指していたが、技術面から現実的ではないと断念した。

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