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海外にもTKG(卵かけご飯)が広がりつつある(写真はイメージ) =PIXTA

海外にもTKG(卵かけご飯)が広がりつつある(写真はイメージ) =PIXTA

日本の農産物輸出が順調に増えていると聞いたわ。健闘している理由はどこにあるのかしら。今後さらに農産物の輸出を伸ばしていくには、どんな課題があるのかな。

農産物輸出が伸びている背景について、川野茉莉子さんと本田めぐみさんに吉田忠則編集委員が解説した。

川野さん「農産物の輸出はどうなっていますか」

2020年の農林水産物・食品の輸出額は9223億円と8年続けて最高を更新しました。前年比伸び率は1.1%と微増にとどまりましたが、新型コロナウイルスの流行のもとでは健闘といえます。人口減少が続く日本で農産物の市場拡大を見込むのは難しいだけに、海外市場の開拓が進んでいるのは明るい材料とみることができます。

コロナ禍の影響で「巣ごもり消費」が注目されています。食事でいえば外食を控え、食材を買ってきて家で調理するタイプの消費です。同様のことは海外でも起きていて、一部の農産物の輸出を後押ししました。代表が卵です。日本の鶏卵の衛生管理は、国際的にみて極めて高い水準にあります。香港で人気なのが「卵かけご飯」です。現地には日本から輸入した卵を扱うレストランがあり、TKG(卵かけご飯)という言葉まで使われています。

米国で注目すべきは牛肉です。もともとは飲食店向けの輸出が中心でした。ところがコロナ禍で外食が打撃を受けたのを機に、全国農業協同組合連合会(JA全農)の関連会社が薄くスライスし、小売店に販売してみました。その結果、輸出を盛り返すことができました。

本田さん「輸出を増やすうえで大切なことは何ですか」

今回わかったのは、日本の食べ物のおいしさを知ってもらうことの大切さです。卵かけご飯が象徴的ですが、卵を生で食べる習慣のない国に輸出しても、まず生で食べてはもらえないでしょう。

カギを握るのはインバウンド(訪日外国人)です。日本風の食べ方を提案してくれる現地の飲食店も大切ですが、訪日客が日本で食べてみておいしさに気づいたからこそ、帰国しても食べたいと思うのです。農産物の輸出では「相手国の需要をつかむことが必要」といわれてきました。その指摘は間違っていませんが、まず質の高さを知ってもらうことはとても重要です。

いまはコロナ禍でインバウンド消費が低迷していますが、長期的にその意義を軽視すべきではありません。

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