川野さん「政府は輸出をどう後押ししていますか」

20年3月に向こう10年間の農政の指針となる基本計画を決め、その中で農林水産物・食品の輸出額を5兆円に増やす目標を掲げました。足元の輸出額と比べると大胆な目標にみえますが、1次産業を元気にするにはそれくらい積極的な姿勢が必要です。

これを実現するため、関連する業者が連携するための組織をつくったり、品種開発や生産の技術など知的財産の保護を強化したりします。重点的に支援するのは牛肉や鶏卵、コメなど27品目です。

本田さん「今後の課題は何でしょうか」

様々な国際規格への対応です。食品加工では衛生管理の国際基準「危険度分析による衛生管理(HACCP)」、農産物の安全確保では「農業生産工程管理(GAP)」が重要です。アジア向けの輸出では規格が問題にならないこともあるようですが、欧州を含めて輸出をもっと増やすには対応が必要でしょう。

11年の原発事故を受け、日本の食品の輸入を制限している国や地域との交渉も重い課題です。一時に比べて輸入を規制する国・地域は減りましたが、中国や香港、台湾、韓国、米国が東北などで生産された食品の一部の輸入をいまも止めています。対象となるのは国内で問題なく流通している食品です。解決には政府の粘り強い努力が必要です。

ちょっとウンチク

円安・市場開放も追い風

農産物輸出が増えている背景には、アベノミクス以降の円安がある。日本で買い物しやすくなったことで訪日客が増え、輸出にも弾みがついた。農林水産物・食品の輸出額を1兆円にする目標を06年に掲げたが、当時は輸出を伸ばすための環境が整っていなかった。

環太平洋経済連携協定(TPP)で、国内市場の大幅な開放に踏み切ったことも大きい。これまで農政は市場を守ることばかりに力を入れてきたが、市場を開けたことをきっかけに思い切って攻めに転じることができた。日本の食品に対する国際的な評価は高く、コロナ後はさらなる拡大が期待できるだろう。(編集委員 吉田忠則)

■今回のニッキィ
川野 茉莉子さん 最近、光目覚まし時計を購入した。起床時刻の少し前から、徐々に室内を明るくして目覚めに導く。「スマホのアラームで起きていたときよりも、目覚めがとても良くなりました」
本田 めぐみさん 3年前から米粉の販売業務に携わっている。米粉の認知度を上げるため、ツイッターの開設やワークショップの開催に取り組む。「自宅でも米粉を使ってマフィンなどを作ります」

[日本経済新聞夕刊 2021年3月29日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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