STORY アフラック vol.9

どんなときも変わらぬサービスを 多様な働き方をチカラに

アフラック生命保険 保険金コンタクトセンター 部長
図子 由布子さん

新型コロナウイルス禍では、多くの企業が感染予防のためにリモートワークを取り入れるなど、ビジネスパーソンの働き方が大きく変わった。アフラック生命保険は、一般的には導入が難しいと言われるコールセンターでもリモートワークを可能にする態勢づくりを2020年から始めている。その先頭に立つのが保険金コンタクトセンター部長の図子由布子さん(49)だ。新しい働き方やテクノロジーを取り入れながら、より良いサービスを提供しようと日々奮闘している。

全国4カ所のコールセンターを指揮

アフラックには、契約者からの保険金請求や問い合わせに対応する「保険金コンタクトセンター」(コールセンター)が全国に4カ所ある。年間約200万件、多い日は1日あたり1万件に達する顧客からの電話に400人超のオペレーターが対応する。サポートの社員や外部委託先などを含めると総勢800人もの大所帯で、図子さんは4つのセンターを統括する立場だ。

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ひっきりなしに電話が鳴るコールセンターの状況に目を配る

アフラックでは多様な働き方を実現するため、以前から在宅勤務制度を取り入れてきた。しかしコールセンター業務は契約者からの保険金請求や問い合わせに迅速かつ丁寧に回答することが求められる。質問内容は多岐に渡るため、受電したオペレーターは分からないことがあれば「スーパーバイザー」と呼ばれる現場責任者につなぐなど、他のメンバーとの綿密な連携が必要不可欠。図子さんが「基本的にはオフィスで対応した方がクオリティーの高いサービスを提供することができる」と話すように、他部署と比べて在宅勤務の障壁は高かった。

コロナ対応、在宅勤務と新拠点設立を推進

そんな状況を一変させたのが、2020年春の新型コロナウイルスの感染拡大だった。どんな有事でも速やかに給付金を支払うのが保険会社の責務。保険金コンタクトセンターでは、契約者へのサービス維持と、メンバーに安心して勤務してもらう環境の提供を両立させるため、「密」になりがちなコールセンター機能を複数のフロアに分散したり、フロア間の移動を最小限にとどめるなど、すぐに感染拡大防止策をとった。

これまで経験したことのないウイルスの感染拡大、そして緊急事態宣言と、メンバーの間に不安が広がるなか、図子さんは現場の声やニーズを本社の経営層に伝え、マスクと消毒液を配布するとともに、オフィスの机や休憩室のテーブルなどにパーテーションを速やかに設置した。室内に空気清浄機やサーキュレーターを設置して換気するなど、関連部署と連携して感染を防ぐ職場環境づくりに取り組んだ。

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パーテーションの設置など感染防止策を徹底した

オペレーターが安心して出勤できる環境は整ったが、どんな災害が起きても対応できるコールセンターにするため、地理的に分散した新拠点の設立と、在宅勤務ができる態勢づくりにも着手した。オペレーターの自宅は契約者からの電話を落ち着いて受けられる環境なのか。通信接続に問題はないかーー。各自の自宅の環境を調査し、受電に必要な機器を手配。機器設置の方法をレクチャーした。

最大の課題はオペレーターが自宅で受電中、離れたところにいる責任者とどうスムーズに連携するか。普段であればオフィス内で挙手して呼びかけているが、在宅勤務中は電話のほか、パソコンの画面共有機能やチャットを利用するなど運用方法についても検討を重ね、トレーニングを実施した。これらは保険金コンタクトセンターと同様に、在宅勤務での受電に取り組む他の部署ともノウハウを共有しながら進めているという。

ロボットを現場責任者の「分身」として活用

コールセンターの現場責任者が在宅勤務するときには、遠隔操作ロボット「temi(テミ)」の活用も模索している。temiは自走式で、ロボットの「顔」部分にある画面に責任者の顔が映った状態で、オフィス内を自由に移動する。オペレーターも責任者と対面しているかのように音声と動画でコミュニケーションを取ることができる。図子さんは「まだ試験的な運用だが、2020年末に立ち上げた福岡オフィスでもtemiが活用できるのでは」と考えている。「在宅勤務に限らず、物理的に離れているオフィスの状況確認や、現地メンバーとコミュニケーションを取る手段としてもtemiは有効」と強調する。

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遠隔ロボットtemiを通じて現場責任者が自宅から現場に指示する

コールセンターでは契約者の個人情報を扱っており、オペレーション以外にも解決しなければいけない課題が多い。在宅勤務に伴う各種情報の取り扱いについて、コンプライアンス面で問題がないように対応や手続きも進めた。こうした仕組みを整えたことで、2020年末までに約120人のオペレーターが自宅でのコールセンター業務を経験できた。図子さんは「事前に考えていたよりは支障もなく在宅勤務できている。有事には在宅受電でお客様サービスを提供できるよう、トレーニングを継続していきたい。今後、災害でセンターが被害を受けたとしても、他拠点の稼働と在宅勤務の組み合わせで柔軟に対応できそう」と手応えを感じている。

コロナで見えた課題に向き合う

急ピッチで準備を進めてきた在宅勤務だが、図子さんは「新型コロナの感染拡大が収束した後も、『ニューノーマル』に対応した働き方やコミュニケーションが求められる」と話す。在宅勤務を導入して見えてきた課題は、在宅が続いた際のメンバーの心のケアをどうするか。出社した場合と遜色ないオペレーションやコミュニケーションをどうしたら実現できるのか。オフィスに出勤しているときのように、ふらっと立ち寄って「最近どう?」と気軽に声を掛けたり、何気ない雑談から様子を察したり。そんなコミュニケーションがコロナ下では難しくなっている。

一方で在宅勤務にはメリットも多い。周りに人がいないので、落ち着いてリモートによる面談ができたり、部屋の移動がないので会議もより効率的に実施できたり。コロナによる社会の変容を受け止め、「そこで得たものを次の打ち手として生かしていく」と前向きに捉えている。

迷いを振り切り管理職に

通勤時間がなくなり、家で過ごす時間が増える在宅勤務が広まれば、仕事と家庭を両立しやすくなる。図子さん自身もこれまで、この2つの両立に腐心してきた。

1994年に新卒入社後、一貫して直接、契約者と接する業務に携わってきた。入社後は保険金請求の受付や支払い査定などを15年ほど担当し、保険のイロハを学んだ。2008年に銀行窓口での保険商品の販売が解禁されてからは、銀行担当者向けのサポートデスクの立ち上げにも取り組んだ。

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在宅勤務は図子さんが働く姿を2人の息子に見せる機会にもなった

管理職になったのは2015年のこと。当時、2人の息子のうち、下の子はまだ3歳で、時短で勤務していた。そんな状態で管理職になって良いのかと迷う気持ちもあったが、もともとアフラックには多様性を受け入れる企業風土がある。自分が思い切ってやることで、同じような悩みを抱える人の後押しになるかもしれないと考え、チャレンジを決めた。

管理職になって約6年。子どもたちは大きくなったが、当時とは違う子育ての大変さも実感している。それでも図子さんは「子育ても含めての自分。たまたま今、私は子育てというステージにいるが、子育てに限らず、介護であったり、打ち込んでいる勉強や趣味など、皆、仕事との両立が必要なことがある。それらを互いに理解し合い、充実させながら組織パフォーマンスを上げていきたい」という。

コロナ禍での在宅勤務には思わぬ副産物もあった。子どもたちも休校で家にいることが多く、母親が働いている姿を直接見る機会が増えた。図子さんは「朝から夜までずっと仕事をしていると、子どもから怒られる」と笑う。オンラインのセミナーが増えたことで、育児をしながらすき間時間に気軽に学ぶこともできるようになった。外出の機会が減り、時間が取れるようになった分、忙しさを理由に後回しにしていた英語学習にも集中的に取り組み、以後続けている早朝学習は生活に良いメリハリを生んでいる。

新しい価値の創出、常に追い求める日々

目に見えない保険を契約者が初めて意識するのが保険金を請求する場面だ。契約者との最大の接点ともいえる保険金給付業務やコールセンター業務を入社以来、担い続けてきた。コールセンター業務の根幹は変わらないが、働き方やテクノロジーは進化している。そんななかでサービスをいかに向上させていくか。2020年に部長職に就いてからは、今後3年間で何を目指すべきか、ありたい姿を描き、管理職同士で議論を重ねた。「お客様にとってはコールセンターが迅速かつ正確に対応してくれるのは当然。お客様からの1つ1つの問い合わせに真摯に向き合い、当たり前のことを当たり前に行った上で、どう新たな価値を生み出していくのか、私たちが提供できる価値とは何か、いつも考えている」と話す。

今後は「これまで培った徹底的なお客様視点で、先進性と温かみ、両方を備えたサービス像を描き、提供していけるような人材になりたい。アフラックってこういう会社だよね、と思ってもらえるような企業文化の形成にも携わっていきたい」という。

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