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アンモニア燃料を使う次世代船の開発計画も進んでいる(今治造船の工場)

アンモニア燃料を使う次世代船の開発計画も進んでいる(今治造船の工場)

アンモニアを発電の燃料に使うそうね。アンモニアという名前は聞いたことがあるけれど、これを発電で使うと地球温暖化対策になるというのはどういうことかしら。

アンモニア燃料の活用について、石村知子さんと貞弘純子さんが松尾博文編集委員に聞いた。

石村さん「何のために使うのですか」

アンモニアは窒素と水素の化合物です。世界で年間2億トンほど生産され、大半は肥料や工業用です。これを発電燃料に使う取り組みが始まりました。アンモニアを燃焼させても、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を排出しないからです。

日本を含む、多くの国が2050年ごろまでに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げています。日本は石炭や液化天然ガス(LNG)を燃料に使う火力発電が電源の76%を占めます。これを太陽光や風力などの再生可能エネルギーに置き換えていく必要がありますが、自然条件やコストなどの制約から、再エネですべて代替することができないかもしれません。火力発電を使い続ける手段として、アンモニア燃料に注目が集まっているのです。

貞弘さん「どのように使うのですか」

石炭火力やLNG火力の燃料に混ぜます。段階的に比率を上げ、将来はアンモニアだけでの燃焼を目指します。東京電力ホールディングスと中部電力が燃料調達と火力発電事業を統合したJERA(東京・中央)は、21年度から石炭火力の燃料にアンモニアを20%混ぜて使う実証試験を始め、30年度以降に全国の発電所で利用を始める計画です。

関西電力や中国電力、Jパワーなどもアンモニア燃料の活用を考えています。政府は脱炭素実現に向けた「グリーン成長戦略」で、重点14分野の一つにアンモニア燃料を定めました。政府は30年に国内で300万トン、50年に3千万トンの消費を計画しています。アンモニアを発電に使う試みは海外でもあまり例がなく、日本が先行しています。

石村さん「脱炭素には水素利用も有効と聞きます」

その通りです。水素も重要な脱炭素燃料です。実はアンモニアも燃焼には、自分に含まれる水素を使います。にもかかわらずアンモニアの形で使うのは、製造や輸送、貯蔵の方法が確立済みで、既存設備が有効利用できるといった利点があるためです。

水素は運びやすくするため液体にしますが、セ氏マイナス253度の超低温が必要となるなど取り扱いが難しい。いわば「水素の乗り物」としてアンモニアを使うのです。

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