◆リモートでアイデアを募る

コロナでリモートワークが広がり、コミュニケーションの取り方が変わった。このこと自体は、さほどマイナスに作用していない。以前から、働き方改革やチームの生産性アップを目的として社内の風通しをよくしようという動きが出ていた。リモート主体になっても、品質改善や新規事業開拓などのアイデアを社内で募る工夫を続けている企業は多い。その一つのアイテムとして「SDGsでの貢献」を取り上げるケースもある。すると、いろんなところからアイデアが出るという。ある金融会社で「うちの会社のひとは環境にしか興味がないと思っていた。しかし、人権とか、教育とか、子どもとか、そういうのにすごい関心を持つ人が多いのに驚いた」という例があった。

コロナがSDGsを考えるきっかけの一つになったが「実際にどう進めるか」となると、依然として企業の悩みは深い。毎年の部門の利益とSDGsを両立させようと思った時に、どこでバランスをとるのか。SDGsやサステナビリティは分かるし、共感するけれど、目先の仕事どうするか……という具合だ。一番、ストレスを感じているのは中間管理職層ではないか。経営トップは、どんどん取り組めと号令をかける。若い世代はSDGsを進めるのは当たり前だと思っている。「言うはやすし」だが、現場でプロジェクトや人を回していくことは難しい。経験のない分野だけに、他社の取り組み事例に体する情報ニーズは大きい。

◆17目標をつなげて考える

コロナで売り上げが減った場合など、目先の経営課題とサステナビリティ経営との両立も課題だ。まず、評価軸と評価期間を整える作業が必要だ。3年間といった中期経営計画レベルなのか、1年なのか、あるいは決算ベースの四半期なのか――。2050年では30年間もあるので長い。せめて10年後の2030年に目標指標を設定し、さらに2、3年で区切ってスケジュールを組むパターンがよくある。例えば温室効果ガスなら10年後に何割削減を目標にするなどを決める。それぞれの企業の事情と科学的な根拠をあわせて指標を設定するやり方が広がっている。

やはり、国連が2015年にSDGsの共通目標を定めたことのインパクトは大きい。目標が17個出てきたことで関心を持つ層が広がった。気候変動と難民とか、プラスチックと森林などをつなげて考えなければいけない。今までは、環境と社会課題とを、違う人がやっていたが、ドンとまとめて出たので「何も言わずには、いられない」というムードになっている。SDGsは一時のブームではなくなった。

□   □   □

次のページ
夫馬賢治氏
ビジネス書などの書評を紹介