メンタルでは解決しないこと

自律神経を整えるために大切なことは、体の動きを常に意識することです。最近関心を集めているアンガーマネジメント(怒りの感情をマネジメントすること)では、「大きく息を吸う」「反応するまで6秒待ってみる」といった対処法が知られています。「86.落ち込んだら迷わず『階段を上り下り』」の項目でも、体の動きをメンタルに連動させることの効用を説いています。

メンタルの問題を、メンタルで処理しようとしてはいけないのです。
 そういうときこそ体の状態を整えることが一番。「心・技・体」で最初に整えるべきは、心ではなく体です。
 「怒られて、落ち込んでいる」「イヤなことがあって集中できない」ときは、すぐに自分の席を離れ、階段を1、2階分上がったり、降りたりしてください。
 体を動かすことで血流がよくなりますし、疲れない程度に階段を上り下りすると、そのリズミカルな動きによって副交感神経が高まり、自律神経のバランスはよくなります。
 『ミスの後処理をどうするか』『取引先にどう謝るか』『次の仕事でどう挽回するか』など、事後対応を考えるのは体の状態が整ってから。いいコンディションで考えたほうが、いい方法が見つかるに決まっています。
(第7章 ストレスには正しく対処する 223ページ)

なお、本書は2015年6月にKADOKAWAから発行した『一流の人をつくる 整える習慣』を文庫化にあたって大幅に加筆修正、再構成、改題したものです。コロナ禍だけが原因ではないと思いますが、世の中全体が窮屈になっているようです。こんな時こそ、一度、リセットして、空に向かって思い切り伸びをしてみませんか。周囲の環境に引きずられる事なく主体的に自分を強くするノウハウが詰まっている本書は、よりよい生き方をサポートしてくれるサプリメントのような良書です。

◆編集者からひとこと 日本経済新聞出版・酒井圭子

実は本書、当初の刊行予定は2020年春でした。しかし、その4月に緊急事態宣言が発出。「コロナ禍」という時代に合わせて大幅に加筆いただき、刊行をほぼ1年延ばすことになりました。

結果的にそうしてよかったと思います。

小林先生ご自身が「心と体の不調」を解消するために実際に取り組まれたこと――早起きして散歩する、自分のためにSNSを始める、一日一枚写真を撮る、部屋に絵を飾る等々――がふんだんに盛り込まれ、悩める方々にさらに寄り添う一冊となれたからです。

働く皆さんすべてに役立つリアルなヒントが満載。ぜひ役立てていただければ幸いです。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。

整える習慣 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 小林 弘幸
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 880 円(税込み)

ビジネス書などの書評を紹介