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日本の「土地神話」はコロナ禍の影響で消える?

日本の「土地神話」はコロナ禍の影響で消える?

在宅勤務が増えたら、都心の地価は下がるのか。デジタル化が進むと、商業地域は衰退するのか――。今回紹介する『アフターコロナ時代の不動産の公式』は、コロナ下で日本の不動産市場がどう変わっていくのかを予測する一冊だ。重要なビジネスインフラの動向を豊富なデータで読み解いた本書を、ぜひとも次世代リーダーの情報武装に役立てていただきたい。

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幸田昌則氏

幸田昌則氏

著者の幸田昌則氏は福岡県出身の不動産市況アナリストです。九州大学法学部卒業。不動産市場の分析や市況予測を行うネットワーク88代表です。経営コンサルタントとしても活躍しており、不動産業界団体や、資産家・経営者を対象とした講演も行っています。主な著書に『不動産これから10年のトレンド』『不動産で豊かになる10年先の読み方』『リクルート・江副浩正から学んだ「成長の経営哲学」』があります。

不動産にコロナ特需

コロナの影響を分析する前に不動産バブルの歴史を押さえておきましょう。戦後の日本では2回、大きな不動産バブルが生まれました。一つが1990年にピークをつけたバブル経済の時です。次いで2007年ころに起きたリーマン・ショックの直前。大都市圏でミニバブルが発生しました。著者は3回目のバブルとして、アベノミクスと並行してバブルが起きたと指摘します。「安倍政権の誕生後、長期にわたる日本のデフレ経済からの脱却を目指して政府と日本銀行が一緒に異次元の金融緩和を実施したことで、静かに、緩やかに生まれていった」と分析しています。

2020年3月ころから日本社会を新型コロナウイルス感染拡大の大ショックが襲い、不動産市場も打撃を受けました。しかし、市況悪化は4月、5月のわずか2カ月間にとどまります。その後は「コロナ特需」が発生したのです。

 衣・食のそれぞれの業界は、買い控え、外食の自粛などからきわめて厳しい状況に置かれ、時間の経過と共に休業・廃業・倒産などの件数が増えている。
 しかし、「住」については、2020年4、5月の地獄の底から、一気に市場は回復した。6月以降、急速に住宅需要が強まり、契約件数が伸びた。4、5月頃は将来への業績見通しが立たずに、住宅・不動産業界では、経営トップ自らが自身の給与をゼロや半分にする、同時に幹部クラスの給与も2、3割カットするという例も少なくなかった。それほどまでに、将来に対する危機意識が高まっていた。
 アベノミクス以降、長期にわたった大バブルによる利益で財務体質が強化されてきたとはいえ、経験したことのない感染症による不況への身構えであったが、それは見事に杞憂に終わった。むしろ、拍子抜けしたと表現した方が適切ではないかと思われた。
(第二章 新型コロナウイルス感染拡大による住宅・不動産市場の変化 64~65ページ)

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