女性をプロレス好きに 東京ドーム2日興行がきっかけ
新日本プロレスリング前社長 ハロルド・ジョージ・メイ氏(16)
東京ドームで2日連続の興行を開いた
業種や規模はもちろん国境をも軽々と飛び越えて次々に効果的な策を打ち出し、企業を成功に導く。こうした「プロ経営者」と呼ばれる人たちの一人がハロルド・ジョージ・メイ氏だろう。赤字状態だったタカラトミーの社長となるや、わずか数年で最高益へと業績をV字回復させた。そのメイ氏は2018年、新日本プロレスリングの社長に就いて、新たなファンを呼び込んだ(2020年10月に退任)。メイ氏の「仕事人秘録」の第16回では、東京ドームでビッグイベントを仕掛けた経験を語ります。
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1月4日と5日の2日間連続で大会を開くことにしました。新日本プロレスとしてはこれまでにない試みで、大きな賭けです。でもリスクを取らず失敗を恐れていては、ビジネスは伸ばせません。今は大きな「花火」が成功するように策を練っています。
まず考えたのは新規客の開拓です。これまでは既存のプロレスファンなどのリピーターが中心でした。それだけでは東京ドームを2日間埋めることはなかなか難しいので、今まで会場に来たことが無いような人にもアプローチすべきだと考えています。
そこで、今回初めてレディースシートを設けます。女性が1人でプロレス会場に行くのは少し勇気がいります。狭い空間で3~4時間。隣にどんな人が座るのか。「できれば自分と同じような女性が座ってくれたらいいな」と思う人が多いようです。会場に1度でも来たことがあれば、隣が男性でも女性でも安全で、嫌な思いをすることはないとわかります。しかし、初めての人には心理的なハードルがあります。
レディースシートならば女性1人でも安心感があります。チケット代金は通常と同じで特典も付けます。会場に行ってみたい気持ちを邪魔するハードルを取り除き、初めての人でも気楽に来場できるようにしたいと思っています。