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高齢者マネー大移動 孫への教育資金非課税1年 信託4行で4300億円

2014/4/7

祖父母から孫への教育資金の贈与が1500万円まで非課税になる制度が始まって、4月1日で1年がたった。贈与額は大手信託銀行4行の合計で4300億円、契約数は6万5千件に達する。当初は2015年末までに5万4000件を見込んでいたが1年で上回った。高齢者マネーがゆっくりと動き出した。
贈与信託の利用者の半数は信託銀行の新規顧客だ(大阪市内のりそな銀行の支店)

東京都に住む大沢隆治さん(仮名、81)は、りそな銀行の「きょういく信託」を利用し7人の孫に教育費として300万円ずつ贈与した。「孫のためになるならと決断した。相続対策になるのもありがたい」と語る。仮にこの制度を使わなかった場合、約130万円が贈与税として課税された計算になる。

すでに塾代や修学旅行費として数十万円が引き出された。3人の子供に贈与を受けた娘の大沢美智代さん(仮名、50)は「浮いたお金で車をワゴン車に買い替えた」と話す。

日本の1600兆円の個人金融資産のうち、6割は60歳以上の高齢者に集中している。りそなホールディングスの東和浩社長は「子育て世代への資産移転が加速すれば、個人消費への追い風にもなる」と強調する。同社は旧大和銀行の部門を引き継ぐ信託兼営。当初、15年末までに7500件を見込んでいた契約数がすでに1万件を超えた。

三菱UFJ信託銀行も約2万9000件、三井住友信託銀行は約2万件と想定を上回る契約数となった。好調な実績を受けて、信託協会では15年末で終了する予定の非課税制度の恒久化を国に要望する方針だ。協会長の中野武夫みずほ信託銀行社長は「出産や育児への非課税対象の拡大も要望できないか検討したい」と話す。

もっとも贈与信託は信託設定時の手数料をとっておらず「商品の収益性は低い」(信託関係者)。信託銀行は贈与信託を入り口にした関連ビジネスの拡大で収益確保につなげる考えだ。

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