次にブレイクする酒の裏にあるビジネス展開を追う特集がスタート。初回は北海道の日本酒蔵を取り上げる。今飲むべき日本酒を通に聞くと、必ず名前が挙がる酒蔵が上川大雪酒造だ。看板銘柄「上川大雪 特別純米」の人気に加え、地元でしか手に入らない“幻の地酒”も話題。日本酒に関する情報を発信するウェブメディア「SAKETIMES」編集長の小池潤氏は、「町おこしにも一役買う地元密着型のマーケティングは画期的で、2021年にさらに人気を高めそうだ」と語る。

※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成

「上川大雪 特別純米」(税込み1936円・720ミリリットル)
「上川大雪 特別純米」(税込み1936円・720ミリリットル)

 上川大雪酒造は、北海道・上川町に「緑丘蔵」を構える新進気鋭の酒蔵。2017年に元証券マンの社長・塚原敏夫氏が三重県の休眠していた酒蔵の免許を移転して上川町に蔵を新設する、前例の無い“裏ワザ”を使って異業種からの参入を果たした。新型コロナの影響により20年2~5月の日本酒出荷量が業界全体で前年同期比4割減となる中、同社の売り上げは前年比8%増と大健闘している。

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 社名を冠した「上川大雪 特別純米」(税込み1936円・720ミリリットル)は、地元の販売店と特約店、自社オンラインショップでも販売し、売り切れることも多い看板銘柄だ。実はさらに日本酒通を唸らせる、地元でしか手に入らない“幻の地酒”といわれる一本がある。70%精米の純米酒ながらクオリティーが高く、「安くてうまい」と評判の「神川」(税込み1320円・720ミリリットル)だ。

 この酒はオンラインなどでは一切販売せずに、買えるのは人口約3500人の上川町周辺の小売店だけ。ただし、町内では何とコンビニエンスストアの店頭にも並んでおり、住人にとっては身近な酒だ。

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