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ホワイトハウスのあるじは変わったが、政権の足場は固まりきってはいない(写真はイメージ)=PIXTA

ホワイトハウスのあるじは変わったが、政権の足場は固まりきってはいない(写真はイメージ)=PIXTA

米国のバイデン新政権が始動したわ。社会の分断は深刻だけど、新型コロナウイルスの感染拡大や経済の落ち込みも大変ね。中国との関係も気になるわ。多くの難題にどう対処するのかしら――。バイデン米大統領が取り組む政策について、小竹洋之編集委員が吉田亜希さんと南野佳美さんに解説した。

 吉田さん「米国は様々な問題を抱えていますね」

最も深刻なのはコロナ禍です。米国の死者数は世界最多の47万人超(2月10日時点)で、第2次世界大戦で失った人命を上回ります。経済も大きく落ち込み、2020年の実質成長率はマイナス3.5%でした。景気は徐々に回復していますが、まだ1000万人規模の失業者がいます。

社会の分断も見過ごせません。富裕層と貧困層、白人と非白人、保守とリベラル、高齢層と若年層など、様々な対立軸によって引き裂かれた状態にあります。南北戦争以来の危機といわれるほどです。20年11月の大統領選を巡る混乱や、21年1月に起きた連邦議会議事堂の占拠事件は、真っ二つに割れた米国の姿を世界中にさらしました。

 南野さん「新政権はどう対応するのでしょうか」

トランプ前大統領の「負の遺産」の清算を急ぎます。なかでも「より良き再建」と銘打った国内の立て直しは最優先課題です。コロナ対策では今夏までに全国民にワクチンを供給する目標を掲げ、連邦政府施設でのマスク着用を義務づけました。1.9兆ドル(約200兆円)の追加経済対策も議会に要請しています。

税財政をフル活用して成長力の底上げや格差の是正を目指すのが、バイデン氏の経済政策の特徴です。2兆ドル規模の環境・インフラ投資、富裕層や企業に対する増税、医療保険の拡充といった公約の具体化を検討するでしょう。

トランプ氏とそれほど変わらない施策もあります。政府調達で米国製品を優先する「バイ・アメリカン法」の運用を強化するほか、国内生産に回帰する米企業の支援も打ち出す予定です。低中所得層から幅広い支持を得るためには、バイデン氏も内向きな姿勢に傾かざるを得ません。

政権基盤の脆弱さにも不安が残ります。与党・民主党は連邦議会の上下両院を支配していますが、勢力は拮抗しています。野党・共和党が反対する法案は簡単に通りません。民主党にも中道派と左派との路線対立が残ります。

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