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「最後くらい親孝行がしたい」と思うのは人情だが…(画像はイメージ=PIXTA)

「最後くらい親孝行がしたい」と思うのは人情だが…(画像はイメージ=PIXTA)

思わぬきっかけから、介護は突然やってくる。家族の負担を減らすためには、しっかりした備えが欠かせない。『残念な介護 楽になる介護』(日本経済新聞出版)でイザというとき役に立つ知識とノウハウをまとめた社会保険労務士の井戸美枝さんに、介護を上手に乗り切るための心得を聞いた。

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コロナ下だからこそ早く動く

人生ではなにが起こるか、わかりません。私自身は1995年に阪神・淡路大震災で被災したときに初めて「危機」という言葉を身近に感じました。最近の危機といえば新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)です。地震の場合は隣近所との協力が不可欠ですが、コロナの場合は、人との距離を取る必要があります。この状況でまず頼りになるのは、自分と家族、つまり世帯の自力です。

誰もが直面する人生の危機は「死ぬこと」です。そして、親の介護とは「親が死ぬこと」と向き合うことです。介護の問題は前もって準備しておくことがとても大切ですが、実際は「準備しなきゃいけないのは知っているけれど、いろいろ忙しいし後回しになるのは仕方ない」と考えがちです。

私自身、母親の介護を経験しました。また、いろいろな相談を通じて、脳梗塞や心筋梗塞で倒れたり重傷の骨折で入院するなど、急に直面する苦労を見聞きしています。今回のコロナのように「親に会いに行けない」といった状況が続くようなときは、なおさら早めの準備が大切です。「いずれ」ではなく、今、とりかかってほしいと願います。

介護という「危機」に対応する有効な方法は、自然災害への対応と共通しています。3つのステップで進めていきましょう。(1)危機に関する情報を収集し、現状を分析して課題をまとめる(2)課題を解決するためにやるべきことを明らかにして、それを実行するためのハードルをクリアにしながら万全の準備をする。そして(3)予行演習や訓練をする――です。

現状分析でまずしっかり把握すべきなのは、お金です。「介護にはどれくらいのお金がかかりますか」という質問をしばしば受けますが、要介護度の違い、期間、家族構成、同居か別居か、などケースバイケースで相当の差があります。プランを立てるには、まず「介護のためにいくら使えるか」と「いくらかかりそうか」の両方を把握する必要があります。

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