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東アジア地域包括的経済連携(RCEP)のオンライン首脳会合

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)のオンライン首脳会合

日本や中国など15カ国が2020年11月、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名したわね。巨大な経済圏の誕生だというけど、世界や地域の貿易はどう変わるのかな――。RCEPという大型の自由貿易協定(FTA)の可能性や課題について、田中智恵さんと桑野ゆきえさんが高橋徹アジア総局長に聞いた。

田中さん「大規模な自由貿易の枠組みのようですね」

東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日中韓、オーストラリア、ニュージーランドが参加します。合計の人口が約23億人、国内総生産(GDP)は26兆ドル(約2700兆円)といずれも世界全体の3割を占め、最大の広域FTAとなります。

インドも加えた16カ国で12年に始まった交渉は、高い自由化目標を掲げる日豪のような先進国と、国内産業保護のため自由化度合いを抑えたい中印など新興国の隔たりが大きく、難航しました。会合を重ね、最後にインドが離脱しました。交渉決裂も心配されましたがモノやヒト、アイデア、投資といった広範な「自由貿易の砦(とりで)」を守ろうと各国が粘り強く交渉、合意にたどり着きました。

各国はこれから国内手続きを進めます。発効にはASEANのうち6カ国とその他3カ国の批准が必要で、21年中の完了が期待されます。発効後は参加国全体で91%の品目の関税が段階的に撤廃されます。米ピーターソン国際経済研究所は、RCEP効果で世界のGDPが30年までに1860億ドル増えるとみます。

桑野さん「各国はどんな思惑で参加するのでしょう」

RCEPの源流は1997年のアジア通貨危機後に浮上した広域FTA構想です。中国が「ASEAN+3(日中韓)」の枠組みを唱えたのに対し、中国の影響力をそぎたい日本はインドなどを加えた「+6」を主張しました。

当初無関心だったASEANが、11年に「+6」での交渉入りを提案、構想が動き出しました。前年の10年、米国主導で環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が始まっていました。アジアで自由貿易の主導権を確保するため、ASEANは自ら広域FTAを進める必要に迫られ、中国も「+6」を受け入れました。

日本にとっては外交上の勝利でしたが、インドの離脱で事情が変わりました。RCEP内で突出した大国となる中国は、覇権を争う米国抜きの経済圏としての価値を重視しています。

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