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「Go To トラベル」が一時停止となり、観光業界は再び先が見えにくい状況に(写真はイメージ)

「Go To トラベル」が一時停止となり、観光業界は再び先が見えにくい状況に(写真はイメージ)

新型コロナウイルスの流行で2020年の観光が大きく変わったわね。例年のように海外には行けなくなったし、国内での遠出もしづらかったわ。21年はどうなるのかな――。観光の状況と今後の見通しなどについて関満子さんと入江幸子さんが石鍋仁美編集委員に聞いた。

――新型コロナは観光にどのような影響を与えましたか。

20年春以降、インバウンド(訪日外国人)は前年比9割以上の減少が続いています。影響は大きく、帝国データバンクによれば12月16日時点でコロナ関連倒産の累計件数でホテル・旅館は飲食店に続く2位です。百貨店の免税品売上高、航空や鉄道の利用客も大幅に減りました。旅行会社が店舗のリストラを決めたり、大手出版社が有名な海外旅行ガイドブック事業を他社に譲渡したりするなど、関連業界の再編も始まりました。

――観光市場はこのまましぼむのでしょうか。

そんなことはありません。コロナの流行が始まった今年春、「3密」の心配が少ない各地のキャンプ場は前年以上に混雑しました。4~6月期に前年同期比で77%減となった国内旅行者の数は、「Go To トラベル」が始まった夏以降は回復に転じ、7~9月期は同49%減まで持ち直しました。

観光業界では自宅から車で1時間から2時間程度で行くことができる「マイクロツーリズム」の旅行を積極的に売り込みました。例えば国内を中心に温泉旅館など40以上の施設を運営する星野リゾートは夏以降、前年並みの稼働率をほぼ取り戻し経営も黒字となっています。地元の食や伝統文化、自然を体験できる催しを準備し、近隣の消費者に宿の利用を訴えたことが奏功したそうです。

外出自粛や在宅勤務が続く中で、帰省も含め、日常を離れた環境に身を置くことが心身両面に与えるプラス効果に改めて気づいた人も多いようです。人々の旅行意欲は衰えるどころか、コロナで強まった可能性もあります。

――21年以降の旅行市場はどうなりますか。

年末年始の旅がGo To トラベルの対象外になったこともあり、必ずしも楽観はできません。デロイトトーマツグループが20年9月にまとめた予測では、21年7月時点での国内旅行者数は最大でもコロナ前の75%にとどまり、以前の水準を回復するのは22年7月としています。

海外旅行は各国・地域の政策にも左右され、国内旅行よりも回復は遅れるでしょう。インバウンドは渡航制限が解除されてから1年後でも最大で4割程度の回復と同グループは予測します。観光業界にとっては当面、国内需要の掘り起こしが鍵になります。

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