――見通しはどうですか。

米中には石炭やシェールガスといった化石燃料にかかわる産業があります。失業者への対応は大きな政治課題になるとみられます。米国の生活様式は自動車と切り離せず、ガソリンから電気への切り替えは容易ではないでしょう。

日本では「原発依存をできるだけ減らす」としてきた政府方針を今後どうするかが課題です。ドイツのように脱炭素と脱原発を同時達成するのか、原子力を一定程度残すのか。安全性や環境性、経済性などすべてを満足させる完璧なエネルギーはありません。来年度に改定される新しいエネルギー基本計画の最大のテーマになりそうです。

新型コロナウイルスの影響で世界経済は大きく落ち込んでいます。経済の回復にあたってコロナ流行前に戻すのではなく、技術や社会のイノベーションを通じて脱炭素経済を目指す「グリーンリカバリー」が各国で議論されています。脱炭素には困難が伴いますが、うまくいけば化石燃料に依存しない持続的な成長が可能になるともいえます。

ちょっとウンチク

我慢だけでは達成できない

菅首相はカーボンニュートラルを「成長戦略」と位置付けた。国家や企業にとって、脱炭素は将来の利益や競争力に関わる「損得の問題だ」と国際金融情報センターの玉木林太郎理事長は言う。潮流に乗り遅れれば、投資家や金融機関から相手にされなくなる。

消費者や個人にとっても、環境倫理や節約、我慢だけでは脱炭素の達成は難しい。エネルギーコストの上昇や失業など変革に伴う痛みだけが顕在化しかねない。

化石燃料を使わなくても豊かさを維持し、持続可能な社会を実現できる知恵や仕組みづくりが求められる。

(編集委員 滝順一)

■今回のニッキィ
石原 英理子さん 主婦。週3回各1時間程度、スポーツクラブで泳ぐ。クロールなど4つの泳法で泳ぎ続けると毎回1キロメートルほどの距離になる。「余計なことは考えず体を動かすと、すっきりできる」
河野 美香さん 金融機関勤務。最近、SDGs(持続可能な開発目標)のシンポジウムを視聴し、地球環境への意識がますます高まった。「日々の仕事を通じ、どこまで貢献できるかを考えている」

[日本経済新聞夕刊 2020年12月14日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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