「嫌いな女子アナ」のイメージを払拭し、女性が憧れる存在へと大変身した田中みな実さん。19年末に発売した写真集は60万部を突破し、男女と問わず受け入れられたことが大ヒットにつながった。自虐でも謙遜でもなく、「キレイすぎないところ」が女性の支持を集めたと考える。「“ふつう”で“リアル”」の自分をさらけ出した撮影秘話を、みな実さんに聞いた。

※日経トレンディ2020年12月号の記事を再構成

田中 みな実さん
フリーアナウンサー、女優
1986年11月23日、米ニューヨーク生まれ。青山学院大学卒業後、2009年にTBSテレビ入社。14年にフリーアナウンサーに転身し、司会業のほか、モデルやタレントとしても活動。17年、雑誌『anan』で見せた肘ブラショットが話題に。19年にドラマ『絶対正義』(東海テレビ)で本格的に女優デビュー。同年『ルパンの娘』『モトカレマニア』(ともにフジテレビ)、『奪い愛、夏』(ABEMA)などのドラマに出演して注目を集め、20年は『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日)での怪演が話題に。初の写真集『Sincerely yours…』(宝島社)は累計発行部数60万部を突破。『有吉ジャポン』(TBS)、『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日)などでMCを務める
女性の憧れへと大変身
「眠れない日々が続いた」写真集作りの裏側を語る

 TBS出身の「フリーアナウンサー」という肩書きはもはや不要だろう。2020年は写真集『Sincerely yours…』が60万部を超える大ヒットを記録し、ドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日)での怪演でも脚光を浴びた田中みな実さん。17年に雑誌『anan』で“肘ブラ”ヌードを披露して以来女性の憧れの存在となり、使用した化粧品などが売れる「みな実買い」も話題になった。

――日経トレンディは、「今年の顔」に田中さんを選出させてもらいました。

田中みな実さん(以下、田中さん) わーい、ありがとうございます! 大変恐縮です(笑)。

――2020年はどんな年でしたか?

田中さん 19年12月13日に写真集を発売し、有り難いことにたくさん話題にしていただきました。ドラマにもいくつかかかわることができて、『M』ではエキセントリックなキャラクターを取り上げていただきました。求められるところに身を置いてみたら、実りある1年になっていたという印象です。

 写真集のきっかけは、編集者からの熱烈なラブコール。でも、お話をいただいてすぐ、迷いなくお断りしました。だって、元局アナの写真集がどこの誰に需要があるのか分からなかったから。アイドルの方みたいにコアなファンがついているわけでもありませんし。何度もお断りしているのに、あらゆる材料で説得をしてくれる彼女の熱意に押され、結局「スケジュールが合えば」ということになったのですが、それから2年! 急きょカメラマン、ヘアメイク、スタイリスト全員のスケジュールがピタッと合って撮影日程が決まりました。そこから約3週間。「やるからには、本腰をいれて体を作らないと」と、トレーニングや食事制限に努めました。

――どのようなトレーニングをしましたか。

田中さん 目安にしていたのは数字より見た目。30歳をすぎてからは、躍起になってトレーニングをすると、かえって顔がコケたり貧相に見えてしまう懸念があって。食事と水分は十分に取って幸福感が失われないようなボディラインと顔つきを目指しました。スタイリストさんがもってきてくれる、どんな衣装にも対応できるよう万全の状態で臨みたい、けどお顔はギスギスしたくないみたいな。

 運動らしい運動を始めたのは30歳になるちょっと前くらいからでした。もたついてきたお尻を隠すのに、長め丈のカーディガンで体形をごまかすようになっていた頃。ふと30代で隠すことを覚えてしまったら、これから先40代、50代とファッションが楽しめなくなってしまうのではないか。そう思って一念発起、パーソナルジムに申し込みました。それから1カ月後くらいだったかしら、たまたま『anan』の表紙のお話をいただいたのは。

 オファーをいただいた時は正直めちゃくちゃうれしかったです。だって『anan』の表紙ですよ! でも、中身が美乳特集だと聞いて、尻込み。学生の頃からずっと大きな胸が恥ずかしくて、目立たないような服ばっかり着て隠してきたのです。けど、その羞恥心を差し引いても、人生に一度は表紙を飾りたいという気持ちが勝り(笑)、お引き受けすることにしました。受けたからには、あれこれ注文をつけるようなことはしたくなくて、皆さんがイメージするものを極力体現したい一心で撮影に臨みました。恥ずかしさがなかったといえば嘘になるけど、恥ずかしがっていても事態は変わらない。やるからには潔く、そして気持ちよく!写真集の時もそうでした。やると決めたらやる。恥ずかしがってる方が恥ずかしいから。

NIKKEI STYLE

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