消えた大阪都構想 政令市「独立」の呼び水になるか

大阪都構想の住民投票では反対が多数を占めた(11月2日、大阪市中央区)
大阪都構想の住民投票では反対が多数を占めた(11月2日、大阪市中央区)

11月初めの大阪都構想を巡る住民投票は全国的に注目されたわね。結果的には反対が多数を占めたけど、何が問題になったのかな。地方自治のあり方にも影響を与えるのかしら――。大阪都構想について番田晶子さんと丸山小百合さんに斉藤徹弥編集委員が解説した。

――そもそも大阪都構想の内容と狙いは。

政令指定都市という大都市制度が抱える問題を解決しようとしました。政令市には構造的な問題が2つあります。一つは道府県と似た仕事をする二重行政です。

例えば県営住宅と市営住宅などの施設を道府県と政令市の両方がつくるケースです。人口が増え財政が豊かならばそれでもよいのですが、人口が減り財政が厳しくなると無駄が目立ちます。ハコモノの重複が顕著に表れたのが、府と市が互いをライバル視して競って建てた大阪です。

ソフト施策で重複しやすいのが中小企業や商店街への助成制度などです。道府県と政令市が組んで使い勝手を良くするところもありますが、バラバラなところもあります。

また、似た仕事の担当が道府県と政令市に分かれ、きめ細かく一貫した行政サービスの支障になるケースもあります。子育て政策がその一例です。横浜市では、幼稚園は神奈川県、保育園や認定こども園は横浜市がそれぞれ認可権限を持ち、総合的な対策を取りにくいとされています。

――もう一つの問題は何ですか。

政令市の財政が窮屈なことです。政令市には市外から通う人が多く、その人が使うインフラの整備も必要です。ただ市外に住む人の住民税は入ってきません。これから大都市は高齢化が進み、財源はますます厳しくなります。

二重行政をやめ、財源を強化するため、大阪市を廃止して重なる仕事を大阪府にまとめるのが大阪都構想でした。市が持つ成長戦略の権限と財源を府に移し、投資を効率化する狙いです。市の代わりに東京23区のような特別区を4つ置き、住民サービスを充実させるともしていました。

――今回も否決された理由と今後の展開は。

大阪維新の会はここ10年、知事と市長を握り、事実上、府市一体で運営して二重行政を解消してきました。その実績は市民に支持されていますが、実質的に二重行政がなくなっているなら今のままでよいと思う人も出てきました。

また都構想には「住民サービスが低下する」という批判が根強くあり、維新は特別区の権限や財源を増やす方向に都構想を変えてきました。こうした施策が本当に成長につながるのかという疑問を膨らませたのかもしれません。

都構想は消え去ったといってよいでしょう。維新の実績は評価されているので、これまで通り府市一体の運営を続けていけば、大阪での影響力はある程度保てるかもしれません。ただ、市長か知事のどちらかに維新以外の人が就けば、府市の一体運営は難しくなります。それを防ぐため、維新は一体運営を求める条例の制定を目指すようです。

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