新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の価値観や消費行動、嗜好にどんな影響を与えただろうか。約3万2000人に対する調査結果を基にした特集企画。コロナ禍において価値観の変化が特に大きい若年層を中心に、変わりつつあるリアルな消費者像に迫る。第1回はZ世代に当たる女性10代、20代を見ていく。

(イラスト/木山綾子)
(イラスト/木山綾子)

 マクロミル ブランドデータバンクが約3万2000人を対象に実施した最新の調査結果(2020年6月)と、前回の調査結果(19年12月)を比較。新型コロナウイルス感染症の拡大以前と以後で変化した、人々の価値観や消費行動、嗜好を分析した。

 最初に、「消費価値観」「パーソナリティー価値観」「購買行動価値観」「生き方価値観」の4つに分類した価値観に関する78の項目について、「当てはまるかどうか」を尋ねた調査結果に着目。価値観とは、「次から次へと欲しいものが出てきて困る」「ブランドものを持つのが好きだ」「メーカーやブランドが分からないものには手を出さない」「自らを磨くための投資は必要だと思う」といったもので、前回と今回でプラスマイナス3ポイント以上の差分が付いた項目数をピックアップした(図1)。

図1●最新の調査(2020年6月)と前回の調査(2019年12月)の差分がプラスマイナス3ポイント以上の項目の個数
図1●最新の調査(2020年6月)と前回の調査(2019年12月)の差分がプラスマイナス3ポイント以上の項目の個数

 男女10~60代で、変化が大きい項目が最も多かったのは女性10代で、22もの項目で大きな変化が見られた。女性では女性20代の18項目、女性60代の11項目と続いた。

 男性でも、最も若い層である男性10代が20項目、続いて男性20代が7項目と多かった。男性は、若年層ほど価値観の変化が大きく、高齢になるほど変化が少なかった。

 今回の特集の前半3回では、価値観が大きく変化した項目が多い、女性10代、20代(第1回)、男性10代、20代(第2回)、そして、高齢層の女性60代(第3回)の調査結果に着目し、新型コロナがもたらした新しい消費行動や嗜好の傾向を探っていく。

【特集】調査特集:アフターコロナの消費者
【第1回】 3万人調査で判明 価値観変えたコロナ禍、Z世代女性は堅実志向に ←今回はココ
【第2回】 データ編:男性10代、男性20代
【第3回】 データ編:女性60代
【第4回】 事例編:コロナ禍の消費者を攻略する企業
【第5回】 座談会:Z世代を直撃! コロナ禍で何が変わった?

安定感と信頼感を求める10代女性

 コロナ禍を経て、価値観が大きく変化した項目が最も多かった女性10代のデータ(図2)から見ていこう。

図2●女性10代の平均像
図2●女性10代の平均像

 20年6月の最新の調査結果によると、この層の平均年齢は17.8歳で、平均世帯年収は590.7万円。平均個人年収は31.5万円で、月の平均小遣いは1万4661円だ。19年12月の調査結果と比較すると、金額が増えた項目も減った項目も見られるが、この層の90%は学生だ。学生の中には、大学生だけでなく高校生も同程度いて、1カ月の貯蓄額は「5000円未満」が最も多い。いずれにしても自由に使える金額がそれほど多くないこの層の消費が、新型コロナでどのように変わったかは興味深いところだ。

 コロナ禍以前に実施した前回の調査結果(19年12月)とコロナ禍後に実施した今回の調査結果(20年6月)から、価値観に関する調査結果を抽出。プラスマイナスの差分が大きく出た項目を5つずつ並べた(図3)。すると、新型コロナが女性10代にもたらした「安定志向」が見えてくる。

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