来日は飛行機で2日がかり 箸でパンにバター塗る特訓新日本プロレスリング前社長 ハロルド・ジョージ・メイ氏(3)

旧カネボウグループのカタログには父の写真が掲載されていた
旧カネボウグループのカタログには父の写真が掲載されていた

業種や規模はもちろん国境をも軽々と飛び越えて次々に効果的な策を打ち出し、企業を成功に導く。こうした「プロ経営者」と呼ばれる人たちの一人がハロルド・ジョージ・メイ氏だろう。赤字状態だったタカラトミーの社長となるや、わずか数年で最高益へと業績をV字回復させた。そのメイ氏は2018年、新日本プロレスリングの社長に就いて、新たなファンを呼び込んだ(2020年10月に退任)。メイ氏の「仕事人秘録」の第3回では、47年前に来日した当時を振り返ります。

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オランダ人には進取の気性があるという。メイ氏の父親もそうした気性を体現した1人だ。日本企業に外国人社員が珍しかった時代に、役員として新規事業開発に取り組んだ。

オランダは平等性や多様性を重視し、新しいことに対する取り組みにも積極的です。例えば欧州連合(EU)も元をただせばオランダを含む「ベネルクス三国」に端を発したものです。同性婚が合法化されたのは2001年で、世界でも初めてでした。

安楽死の導入もいち早く制度化しています。実は私の叔父も安楽死を選びました。あまり音沙汰がなかった叔父から突然「実は私は明日死ぬんだ」と電話がかかってきたときは、思わず「えっ」と絶句しました。ただ、自分の死ぬ時期を選択できるのは、ある意味で先進的だとも感じました。

もう一つすごいと思ったのは医療制度です。父は晩年に医療施設に入りましたが、彼は大変な愛猫家だったので「飼い猫にさよならを言いたい」と言い出しました。日本の病院ではペットを連れてくるなど認められるとは思えません。

しかし、ダメ元で看護師に相談したところ「まったく大丈夫です。どうぞ連れてきてください」と言われました。おおらかと言うか自由と言うか。本当にすごいと感じました。

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開拓者精神は父親譲り