専門家お薦め 「旅、夢気分」を楽しめる地図帳15冊
春はまだ遠く、厳しい寒さが続く。思うように外出できない日でも、ユニークな地図帳を手に取り、思いをはせれば心が弾む。読むだけで手軽に疑似旅行を楽しめて、行楽シーズンに向けた旅行の計画にも役立つ。専門家にお薦めを聞いた。
<日本の今を再発見>
グラフや写真がいっぱい
日本の財政状況や人口問題など硬派な話題が多いが、世界遺産や全国を走る鉄道ローカル線などを取り上げたページは写真が豊富で、眺めるだけで心が躍る。「多様な面白いテーマを地図化しているのが楽しい」(吉津直樹さん)、「経済問題から血液型の分布図までなんでも載っている」(山口奈美子さん)(2)昭文社(3)1680円
食べ歩き旅の計画作りに
「すし」「丼もの」「鍋もの」「麺類」など人気のある料理には特集ページを設けた。米、野菜、肉類、魚介類といった食材から全国を眺める資料ページも楽しい。「全国各地の人気料理や特産品、食材などを都道府県単位で眺められる。食文化と地図を合わせ、まさに旅行に行きたくなる1冊」(米家志乃布さん)(1)岸朝子(監修)(2)帝国書院(3)2100円
登山コースわかりやすく
覆われた河川など「暗渠」をたどると、ただの散歩が胸躍る探検になる。(1)本田創(2)洋泉社(3)2520円
国土地理院の地図製作の過程ルポやデジタルマップの使い勝手の検証など様々な情報を網羅した。(2)洋泉社(3)1890円
<昔の日本を探訪へ>
史跡めぐって時代をたどる
城跡など現在の情報も満載で、旅行ガイドとしても便利。「地図帳で振り返ることで、歴史の動きがそのまま分かる」(安川貢太さん)、「記事が増えて、より見やすい」(内田順文さん)(2)帝国書院(3)2100円
高級住宅街になる高台の物語
麻布(港区)など高級住宅街になる高台の物語は興味深く180以上の「お屋敷」リストも。「同シリーズ『都心の謎篇(へん)』もぜひ一緒に」(渡辺淳子さん)(1)竹内正浩(2)中央公論新社(3)1050円
劇的な街の変化にびっくり
(1)新創社(編)(2)光村推古書院(3)1785円
(1)芳賀ひらく(2)二見書房(3)1890円
<海外へ飛び立とう>
観光名所をイラスト使って紹介
「読者を世界の旅にいざない、夢気分にさせてくれるような海外の観光名所を一挙に掲載してある。厳選された写真とスケッチ、わかりやすい解説で楽しい旅世界を描く」(藤田直晴さん)(2)帝国書院(3)2520円
付録付きで情報満載
フェイスブックで話題に
素朴な疑問に徹底解説
(2)帝国書院(3)2100円
表の見方 数字は選者の評価を点数に換算。(1)著者など(該当なしは記載せず)(2)出版元(3)税込み価格(出版元の価格表示が税抜きの時は1.05を乗じ小数点以下を四捨五入)
■専門性高い本が人気
今回は地図帳や地図をテーマとした本の中から「日本の今を再発見する」現代編、「昔の日本を探訪する」歴史編、「海外に飛び立ちたくなる」海外編の3つの分野についてそれぞれ順位付けした。
近年、地図帳や地図本は多様化が進んでいる。時事問題を解説する地図帳や古地図を活用した旅行ガイドなどは、古くから人気のあるジャンル。最近はより専門的な地形解説本のほか、地図の作り方や読み方など地図自体に焦点を当てた本も目立っている。
その背景にはスマートフォン(スマホ)の普及があるという。デジタル地図を利用する人が増え、より専門性の高い地図への関心が高まっている。一方、製作・出版する側もデジタル技術が発達したために、より精密な地図を作りやすくなった。今後も新しい趣向を凝らした地図帳が続々と登場してきそうだ。
◇ ◇ ◇
調査の方法 読むだけで手軽に旅の気分を味わえるほか、実際の旅行に携行しても役立ちそうな地図帳・地図を主題とした本を「日本の今を再発見する」「昔の日本を探訪する」「海外に飛び立ちたくなる」の3分野に分け、専門家に原則1分野5冊以上を順位付けした上で推薦してもらった。選者は以下の通り(敬称略、原則五十音順)
内田順文(国士舘大学文学部地理・環境専攻教授)▽輿石昭治(よむよむフレスポ甲府東店)▽小林政能(日本地図センター「地図中心」編集部)▽米家志乃布(法政大学文学部教授)▽清水諒・小泉賢志(紀伊国屋書店新宿本店)▽林裕一(代官山蔦屋書店)▽藤田直晴(明治大学文学部教授)▽安川貢太(丸善丸の内本店)▽山口奈美子(三省堂書店神保町本店)▽吉田敏弘(国学院大学文学部教授)▽吉津直樹(下関市立大学学長)▽渡辺淳子(楽天ブックス書籍バイヤー)▽和田加奈子(八重洲ブックセンター本店)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。