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少子化対策には雇用や医療など様々な政策の連携が欠かせない(写真はイメージ)

少子化対策には雇用や医療など様々な政策の連携が欠かせない(写真はイメージ)

新首相が不妊治療に保険が使えるようにするというけど、いまの時代、出産や子育ての負担は家庭にとってまだまだ重いという話も聞くわ。国の少子化対策って、どうなっているのかしら――。少子化対策には何が有効なのか、田中由美花さんと瀬上みどりさんに石塚由紀夫編集委員が解説した。

――不妊治療の保険適用ってどういうものなんでしょうか?

菅義偉首相は10月26日の国会で少子化を「長年の課題」と位置付け、対策に真正面から取り組むと強調しました。その具体策として「不妊治療への保険適用を早急に実現します」と明言しました。菅首相は自民党総裁選から公約に掲げており、実現に力を入れています。

日本産科婦人科学会の調査によると、2018年に不妊治療の体外受精によって生まれた子どもは約5万7千人です。新生児16人に1人に当たります。年間治療件数も年々増え、45万件を超えています。不妊治療はもう特別なことではありません。

ただ問題は経済負担が重いこと。現在は原則医療保険の適用外です。NPO法人Fineの18年調査によれば、総額100万円以上かけた当事者は56%に上ります。体外受精の1周期当たり治療費が50万円以上、という話もあります。公的な補助はありますが、所得や年齢、回数などで制限されています。保険適用で経済負担が減れば、誰もが治療を受けやすくなります。

――少子化に有効なのでしょうか?

経済的な理由で子どもを諦めることがないよう、公的な支援は大切です。それによって出生数も一定数増えるでしょう。でも保険適用を少子化対策に位置づけることには違和感があります。

そもそも、なぜ不妊が増えているのでしょうか。長時間労働を前提とした働き方の問題も見過ごせません。

妊娠しやすい20代に職場はハードワークを求めます。周囲の期待に応えようと仕事中心の生活に陥り、気付けば妊娠しにくい年齢になっている。働き方の見直しを同時に進めないと不妊の悩みは減らず、少子化に歯止めがかからないでしょう。

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