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東京都心のオフィスビル空室率は上昇傾向がみえている(写真はイメージ)

東京都心のオフィスビル空室率は上昇傾向がみえている(写真はイメージ)

本社機能の一部を地方に移転する企業が増えているって聞いたわ。都心のオフィスを縮小・撤退する動きも出ているみたいよ。今後はどうなるのかな。

新型コロナウイルス感染拡大後のオフィスの動きを高木由記子さんと小林美香さんが安西巧編集委員に聞いた。

――どんな企業が本社機能を地方に移したり、都心のオフィスを縮小したりしているのですか。

人材大手パソナグループは2024年にかけて本社勤務約4600人のうち約1200人を兵庫県淡路島に移します。茶専門店を国内外で展開するルピシアが7月に本社を東京・渋谷から北海道ニセコ町に移転しました。

カルビーは7月からオフィス勤務の約800人を在宅勤務などのテレワークにしました。子供の送迎などを理由に時短勤務を余儀なくされていた社員がフルタイムで働けるようになったほか、地方在住のまま本社業務を行えるため、単身赴任の解消にもなっているそうです。

富士通や日立製作所、東芝などの大企業は出社率抑制のための在宅勤務を常態化しています。具体的には、日立の自動車部品部門子会社の日立オートモティブシステムズが9月に東京・大手町の本社オフィスを半減し、席を固定しないフリーアドレスに変更。東芝は在宅勤務の常態化により、東京・浜松町の本社をはじめ国内支社などのオフィスの見直しを進め、将来的に約3割削減する方針です。組織が小さく身軽なスタートアップ企業は大企業より早く都心のオフィス撤退・縮小を加速させています。

――そもそもなぜ、企業の本社は東京に集中していたのですか。

首都圏は人材が豊富なほか、許認可を担当する官庁が集中しています。東京は日本最大の消費地でもあり、顧客との距離を近づけたいという思いもありました。

ただ、人口の過度な一極集中で都心の地価が高水準となり、安価な土地を求めて郊外に住む人も増えました。居住地が郊外に広がった結果、通勤時に満員電車に長時間乗らざるを得ない苦痛、いわゆる「通勤地獄」などの弊害が慢性化しました。新型コロナ禍でパンデミック(世界的大流行)の恐怖を味わったことで、改めて「異常な状況」だったことを再認識した人も少なくなかったと思います。

住民基本台帳人口移動報告によると、7月に東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の他の道府県への転出者が、2013年7月の現制度下での集計開始以来初めて転入者を上回りました。7月の1459人に続き、8月も459人の転出超過でした。一極集中の転換点となるのかどうか、注目されています。

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