長期インターンでミスマッチ減る 現場イメージを確認キャリアセンター座談会(中)

就職活動ルールの廃止やコロナ禍によって、採用・就職活動は激変している。それに対し、各大学のキャリアセンターはどう対応しているのか。また、就職後に活躍できる学生を見分けるためにはどうしたらいいのか。個性豊かな3大学のキャリアセンターが、オンライン座談会で本音を語った。(Text:白谷輝英)

座談会参加者
学習院大学キャリアセンター担当次長 淡野健氏、芝浦工業大学就職・キャリア支援部次長 三船毅明氏、立命館アジア太平洋大学キャリア・オフィス 滝上博章氏、ファシリテーターは人材研究所代表取締役社長 曽和利光氏

セミナーや起業塾など多彩なプログラムを提供

曽和 ところで各キャリアセンターでは、学生に対してどのような進路指導を行っていますか?

350人ものOB・OGが参加するセミナーなどを実施しています。(淡野健氏)

淡野 私たちは新入生に、「大学時代は○○に打ち込んだ」と胸を張れるものを作れと言っています。そうすれば、3年生の4月以降はキャリアセンターが全面的に支援すると宣言しているのです。

3年生の4月には、学生にオリジナルの就職活動用ガイドブックを配布します。また、1月には2日間の面接対策セミナーも開催。本学の就職希望者は年1700人程度ですが、直近の就職セミナーには約9割が参加しました。また、OB・OGも約350人、すでに内定を取っている4年生も約150人、講師役で参加してくれています。4年生になれば一般的な就職活動支援を行いますし、10月以降は内定をとれなかった学生に電話やメールで徹底的に連絡をとって、最後までフォローします。昨年は、3月27日に内定を得た学生もいましたよ。

曽和 350人のOB・OGがセミナーに参加してくれるのはすごいですね!なぜ、彼らは手を貸してくれるのでしょう?

淡野 1つには、本学がワンキャンパスの中規模校で、愛校心に満ちあふれた人が多いから。もう1つは、学生や卒業生に対し、「社会人になっても、就活生とふれあうことが大事」だと大学側が情報発信しているからでしょう。OB・OGには、学生と接することで知識を整理したり、仕事へのモチベーションを再確認したりできると、折に触れて伝えています。

三船 4年生の1~3月になっても内定を得ていない学生に手厚い支援を行っているのは本学の自慢です。経営陣に卒業生がいる企業に協力を仰ぐなどして、最後まであきらめずに学生を支えます。

それから本学は工業大学なので、就職先にはBtoBの企業が多い。こうした企業は学生にとってなじみがないため、「知名度が低くてもいい会社はたくさんある」「学んだことを生かし、キャリアアップにつながる企業を選ぶべし」などの観点を伝えています。

曽和 会社の探し方、選び方について、どう指導していますか?

三船 工業大学を選んだからには、専攻に近い分野で何か好きなことがあるはずです。まずは、それを生かせる会社を探すこと。そして、図書館からオンラインデータベースまで、さまざまなツールを使って、「自分を鍛えられる企業」のみつけ方を教えています。

曽和 地道な取り組みが、高い就職率をもたらしているのですね。APUはいかがですか?

国際機関への就職や起業を目指す学生向けのプログラムを用意しています。(滝上博章氏)

滝上 本学には多様な学生がいますから、キャリア支援のあり方も十人十色です。例えば、国連などの国際機関を目指す学生向けには特別なプログラムを実施していますし、起業を目指す学生には実践型課外プログラムの「APU起業部」も用意しています。究極の目標は、すべての学生に個別の対応をすることですね。

なお、私たちの役割は、学生が求める情報や機会を提供するだけではありません。自らのキャリアを能動的に築き、そのために自ら行動できるよう教育していくことも大切です。そのため、早い時期からキャリア観の醸成ができるよう取り組みを進めています。

曽和 多様なサポートをするためには、学生へのヒアリングが大事ではないかと思いますが、どんな取り組みをしていますか?

滝上 学生からアンケートをとったり、進路希望を入力できる『個人カルテ』のようなデータベースを活用したりしています。

曽和 企業のタレントマネジメントと似通った手法をとっているのですね。とても興味深いです。

長期インターンシップはミスマッチを減らす効果大

曽和 コロナ禍によって学生と企業の接点が少なくなり、インターンシップのあり方も問われています。例えば、インターンシップに参加した学生をそのまま採用できる仕組みも模索されていますね。こうした中、大学はインターンシップを通じた就職活動をどう考えていますか?

滝上 地方の学生にとって、インターンシップの利用価値は大です。企業近くに一定期間滞在するので、説明会などで東京と別府を何度も往復するより移動の費用・時間が少なくて済みます。また、志望企業が肌に合うかどうか確かめることもできますから。

大学主催のインターンシップも実施しています。企業人に大学に来てもらい、その企業が抱える課題を学生がグループ討議して解決策を出すなどのスタイルです。また、インターンシッププログラムによっては単位認定をすることもありますよ。

三船 本学ではエンジニア志望者が多いため、工場や建設現場などを実際に見ることが重要です。仕事が現実のものとしてイメージできるようになりますし、自分に合っているかどうかもわかったりします。

それから本学では、海外インターンシップを行っています。例えば、最近ではベトナムの地下鉄建設現場、シンガポールのモーター制御装置制作現場などで実施しましたね。ただ、海外の場合は学生側も受け入れる企業の側もハードルが高く、常時行っているわけではありません。

淡野 本学も3年前から、キャリアセンター主催でベトナムでのインターンシップを行っていますよ。海外での働き方や、海外で働く卒業生との接点を通じて日本と異なる国の国民性や文化を知ることは、キャリア観の醸成にとても役立っています。

曽和 海外インターンシップは、企業に受け入れを個別にお願いしているのですか?

2週間のインターンシップを行えば、企業と学生のミスマッチはかなり避けられます。(三船毅明氏)

三船 はい。教員が研究を通じて関係の深い企業、あるいは、教員がかつて働いていた企業などに協力を求めることが多いです。

曽和 素晴らしいですね。もともとインターンシップは、アメリカで入社後のミスマッチを減らす目的で導入されています。ただ、今の日本では、短期のインターンシップが多いですね。

三船 そこは懸念材料ですね。2週間働けば、学生も企業も、互いの相性を見極められます。でも、1日程度では難しいのでは。コロナ対応で長期のインターンシップが難しいのもわかるのですが。

曽和 1日だけのプログラムは「インターンシップ」と呼ぶべきではないですよね。すでに就活サイトでは、「ワンデーインターンシップ」という呼び方はせず、単に「説明会」などとしています。

淡野 例えば、同じ会社で1週間インターンシップをすると、学生はいろいろなことが学べます。月曜日と金曜日で、社員の顔つきがどう変わるのか。昼休みの過ごし方はどうか。そういった気づきは、ある程度長期のインターンシップでなければ得られません。

もちろん、部活動などで1週間休むのが難しい人もいるでしょう。その場合は、部活と就職活動の間で優先順位をつけ、1日だけのプログラムに参加してもいい。あるいは、部活の仲間や監督に説明して、長期インターンシップに通う選択もあるでしょう。そういう決断を下すことも、学生にとっては立派な社会経験なのです。

(次回に続きます)

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