待機児童の解消、まだ途上 課題は財源・人材の確保

待機児童問題には地域差が大きい(写真はイメージ)
待機児童問題には地域差が大きい(写真はイメージ)

希望しても保育所に入れない「待機児童」が減ってきているそうね。長年にわたって続いている課題だけど、今後は安心して仕事と育児を両立できるようになるのかしら――。待機児童対策の現状と今後の見通しについて、辻本浩子編集委員が江口のりこさんと林美帆子さんに説明した。

――待機児童は全国にどれくらいいるのですか。

毎年4月1日時点の数字を、9月に厚生労働省が発表しています。2020年は1万2439人となり、前年から約4千人減りました。

減少したのは3年連続で、政府が調査を始めた1994年以降では最も少ない数字となりました。都市部などで、受け皿となる施設の整備が進んだためです。

安倍前首相は「女性の活躍」を成長戦略の柱に掲げ、13年に待機児童ゼロの目標をたてました。当初は17年度末までにゼロを目指しましたが果たせず、20年度末までに先延ばししています。それでも目標達成は厳しい状況です。

厚労省が発表している待機児童数とは別に、特定の施設だけを希望しているなどの理由で集計から外されている「隠れ待機児童」も約7万人います。解消の道のりはなお途上といえるでしょう。

――なぜ待機児童をなくせないのですか。

働く女性が増えていることが最大の要因です。子育て世代にあたる25~44歳の女性の就業率は、13年の69.5%から19年には77.7%に高まりました。政府は25年には82%になるとみています。

近年、保育サービスの量と種類が大きく増えたのは確かです。子育て支援のあり方を改革した「子ども・子育て支援新制度」が15年度に始まり、16年度には企業の拠出金を使った「企業主導型保育」の制度もスタートしました。

政府はこれらをまとめて「保育の受け皿」と呼んでいます。一部の認可外施設も含めると今年4月時点で約314万人分で、この7年間で70万人分以上増えました。全国的にみれば「受け皿」は申込者の総数を超えています。

ただ待機児童問題は地域差が大きく、施設が空いている地方もあれば、若い世代の流入で整備が追いつかないところもあります。同じ自治体のなかでも、例えば大規模なマンションが建つと局所的に需要が高まります。地域の実情に合わせた対策が必要です。

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