――電力の安定供給に影響は出ませんか。

石炭火力の休廃止は電力やエネルギー供給全体のバランスの中で考えなければなりません。エネルギー戦略は環境への対応だけなく、安全や経済性、供給の安定性などの要素の最適バランスをみつける必要があるからです。

発電量に占める石炭火力の比率は18年度で32%。石炭と石油、液化天然ガス(LNG)を合わせた化石燃料全体では77%に達します。中長期のエネルギー政策の指針となる政府の「エネルギー基本計画」は、30年度に石炭を26%とする目標を定めています。

21年度にも政府はエネルギー基本計画を見直します。温暖化ガスの排出が多く、ほぼすべてを輸入に頼る化石燃料への依存度を下げる必要があります。温暖化ガスを出さない国産電源である太陽光や風力などの再生可能エネルギーを、コスト負担を抑えながらどこまで伸ばせるのか。同様に温暖化ガスを出さない原子力発電についても、国民の理解を得てどこまで使っていくのか。全体を見据えた議論が欠かせません。

ちょっとウンチク

脱炭素技術 開発競う

石炭は石油のように産地が偏らず、可採年数も長い。熱量あたりの単価は化石燃料で最も安い。こうした利点の半面、温暖化ガスの排出量が多く、地球環境問題への関心の高まりを受けて退場への圧力が強まっている。

ただし、石炭の役割は終わったと考えるのは早計だ。製鉄やセメント工場など大量の熱を必要とする製造現場を、太陽光や風力で代替するには力不足だ。そこでオーストラリアなどで産出する石炭から水素を取り出して燃料として使い、残った二酸化炭素(CO2)は地中に埋め戻すなど、脱炭素技術の実用化に向けた競争も進んでいる。(編集委員 松尾博文)

■今回のニッキィ
河野 祐子さん 在宅勤務が続いていることもあり、自宅周辺をよく散歩するようになった。近所には個人経営のおしゃれな店も多いという。「こんなお店があったんだなという発見もあります」
小倉 由梨さん 8月から週に1回、オンライン読書会に参加している。他の参加者にこれまで触れてこなかった本を紹介されることもある。「同じ本を読んでも、違う気づきがあり楽しいです」

[日本経済新聞夕刊 2020年10月12日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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