旅行・レジャー

耳寄りな話題

アメリカ人を太らせたあの政策 外国人の不思議(1)

2014/1/10

米国人は昔から今のように激しく太っていたわけではない。米政府の統計などを分析すると、米国人が異常に太り出したのは1980年代。いったい何が起きたのか。

■アメリカの肥満は貧困と同義語

第1に、ファストフードを中心とする外食産業の発展と競争激化で、安くて高カロリーの食べ物が世の中にあふれた。日本の外食業界で最近流行の「メガ盛り」や「ガッツリ飯」の源流となる「アメリカン・サイズ」が生まれたのも、この時期。米国人が日常食べる量は、この20~30年で明らかに増えているのだ。

第2に、政府による農家への補助金ばら撒き政策によって、甘味料の原料や家畜の飼料となるトウモロコシが大量生産されるようになった。その結果、高カロリーの炭酸飲料やジャンクフードの価格が一段と下落。カロリーの過剰摂取に拍車がかかった。

第3に、レーガン政権以降に進められた「小さな政府」を目指す経済政策によって、国民の間の貧富の差が拡大。低所得層は日々の食事を安価なジャンクフードに依存するようになった。

実際、米国では所得の低い層ほど肥満率が高いという現象が起きている。肥満はもはや贅沢病ではなく、貧困と同義語なのである。このあたりの事情について、拙著『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ)で追究してみた。

しかし本当の問題はここからだ。今、この米国発の肥満が、経済のグローバル化の流れに乗って、世界中に感染しつつある。例えば、中国では1980年に1%未満だった成人の糖尿病有病率が今や11%を超えた。クウェートでは肥満治療手術を受ける人が過去10年で10倍に増えたという。

日本にとっても対岸の火事ではない。東京女子医科大学の内潟氏は「日本人も食生活の変化などの影響で肥満が増えている」と警鐘を鳴らす。(ジャーナリスト 猪瀬聖)

旅行・レジャー 新着記事

ALL CHANNEL