――今後も拡大は続くのでしょうか。

ある調査会社が最近まとめた報告書によれば、ベジタリアン(ビーガンを含む)が人口に占める割合には各国・地域で大きなばらつきがあります。インドが29%、台湾が13%、英国や米国が8%台に対し日本は19年時点で5%台。ビーガンに限ると約2%という結果でした。日本のビーガン人口は2年前に比べ2倍強に増えましたがまだ少数派です。日本ではもともと魚食が主流で肉の食べ過ぎへの警戒心が薄いことや、肥満や糖尿病、地球温暖化への危機感が欧米などに比べて乏しい点を指摘する声もあります。

新型コロナウイルス流行前をみても、欧米や台湾、インドなどから大勢訪れていた外国人観光客へのビーガン対応はいまひとつでした。塩だけで味付けしたおにぎりをコンビニエンスストアで毎日購入し、ホテルの部屋で食べているといった苦労話をよく耳にしました。世界に広がる成長市場を日本企業が取りこぼす可能性も少なくありません。

コロナ後の世界では、観光やビジネスで来日する人たちに向けて、よりきめ細かい対応が必要になります。ビーガンへの用意もその一つです。ビーガンの外国人が上司に赴任してきたのを機に関心を持つといった例も増えるでしょう。企業の取り組みもますます広がりそうです。

ちょっとウンチク

基準ばらつきなど課題

ビーガンビジネスの難しさは3つある。1つは少ない客が薄く広く散らばる点で店舗運営の壁だった。この点ネット通販や宅配の普及は追い風だ。2つめは動機の多様化による商品作りの難しさ。肉の食べ応えを植物で再現するには塩分や添加物に頼ることもあり、健康志向の客はつかまえにくい。

3つめは求める基準のばらつきだ。生産工程からも動物性素材を排除すべきだという厳しい人は、有機栽培野菜も動物のふんを肥料に使うため拒否する。各企業は商品やサービスがどういう基準をもとにビーガンを名乗っているのか、明示が求められるようになりそうだ。(編集委員 石鍋仁美)

■今回のニッキィ
中村 英里子さん 開発途上国の援助機関に勤務。7月に6歳と1歳の子供を連れて筑波山に登って以来、オフの日は家族で山登りを楽しむ。「山頂からの眺めはいいし、達成感が味わえて最高です」
荒井 尚美さん 不動産会社勤務。2019年春に出産して以来、栄養バランスのいい食事を心がけている。「塩こうじで味付けした料理や発芽玄米を食べるようになって、心身ともに調子がいいです」

[日本経済新聞夕刊 2020年9月14日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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