好印象与えるテク 雑談の一流、二流、三流は何が違う『雑談の一流、二流、三流』

次の3つのコメントの中で、一番応じたくなるのはどれだろうか。

(1)「今日は暑いですね」
(2)「今日は暑いですね。30℃を超えるそうですよ」
(3)「今日は暑いですね。30℃を超えるそうですよ。夏バテとか平気ですか?」

きっと多くの人が(3)と答えるのではないだろうか。本書『雑談の一流、二流、三流』では(1)を三流、(2)を二流、(3)を一流のやり方だと説明している。そのココロは「一流は、相手に焦点を当てる」。気温の話で終わらせずに相手が話しやすいテーマを設定することで、会話が盛り上がりやすくなる。

このように、日々のちょっとした雑談のなかに見られる一流のワザを、そうではない二流、三流と比べながら実例豊かに紹介するのが本書。雑談の始め方から、話の広げ方、リアクションの取り方、好印象を残す雑談後のふるまい方までを網羅し、プライベートや仕事に役立つスキルと心構えとを取り上げている。

雑談というと本質的でない、取るに足らないもののように思われがちだが、コミュニケーションにおいてとても大切なものだというのが本書の立場。なぜなら、人の心を動かす際には「何を伝えるか」ということよりも、「どんな関係であるか」がものをいう。この、相手との「関係性づくり」を担うのが雑談であるからだ。著者は、コミュニケーションセミナーや研修事業を展開するモチベーション&コミュニケーション(東京・新宿)の代表取締役。

あえて違いに着目

では、関係性づくりの手始め、「相手との距離の詰め方」の一流スキルを見てみよう。一般的に、初対面など相手のことをよく知らない場合は話題が見つかりにくい。そんなとき壁をつくってしまうのが三流、無理やり「共通点」を探そうとするのが二流だ。だが一流は「相違点」に注目する。例えば話者が新潟出身で、相手が沖縄出身だったならば、雪が降る・降らないといった「違い」に注目することで会話を進めていく。「(沖縄出身者に対して)いいな~いつも温かそうで。雪は降らないですよね(笑)」という具合だ。他にも食べ物の好き嫌いなど、あえて相違点を探して面白がるようにすると、会話のきっかけがつかめ、相手との距離も縮まっていく。

他にも、一流は「未経験の釣りの話」に対して、無関心のままでいたり(三流)、無理に興味があるふりをしたり(二流)はしない。「私、全然やったことがないんです。どこがおもしろいんですか? 今、ブラックバスとか流行ってるんですか?」と、好奇心をもって相手に接する。概して、自分の知らない情報をキャッチして知ろうとしていく貪欲さや感度が、一流の特徴なのだ。とすれば本書のテクニックを使うことで、自らの情報感度や学びも磨かれていくのかもしれない。

ところで、雑談で恐ろしいのが「沈黙」の訪れだ。黙り込むのが三流で、アタフタと新しい話題を探すのが二流。果たして一流はどうするのか? 本書で確認してほしい。

今回の評者 = 安藤奈々
情報工場エディター。8万人超のビジネスパーソンに良質な「ひらめき」を提供する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」編集部のエディター。早大卒。

雑談の一流、二流、三流

著者 : 桐生 稔
出版 : 明日香出版社
価格 : 1,650円 (税込み)

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