「売れてるビジネス書」最新ランキング
オフィス街の人気書店から
最近のビジネス書・売れ筋ランキングをまとめて紹介します。今回は三省堂書店有楽町店(4月19~25日)、青山ブックセンター本店(4月12~18日)、八重洲ブックセンター本店(4月4~10日)、リブロ汐留シオサイト店(3月1~31日)、紀伊国屋書店大手町ビル店(3月22~28日)の5店舗です。
三省堂書店有楽町店
1位にデジタルトランスフォーメーション(DX)人材に関する本。今回紹介した行動経済学の本は2位だが、店頭での本の動きでは3週目に入ってもぶっちぎりの勢いは止まっていないという。3位はこのところ上位が続いている投資の入門書。4位は1月に「企業幹部コーチが説く コロナ禍を生き抜く『話し方』」の記事で紹介した話し方の本だ。5位は、経済人やスポーツ選手、さらには無名の市井の人まで、本人が語った仕事や人生についての話を日めくり的に採録した本。息の長い売れ筋がベスト5の3冊を占め、ビジネス書の売れゆきを下支えしている。
青山ブックセンター本店
紹介したライターの教科書が1位だ。2位から5位までは、広告業界の制作系の仕事に携わる人が書いた本が並ぶ。2位の本は、コピーライターの仕事を改めてとらえ直した一冊。ステートメントとは企業が掲げる方針、約束、宣言のことで、これを題材に心に残るコピーやことばを考える。3位は「SNS/SDGs時代のブランド論」をうたう本。4位は、前回2月に同書店を訪れたとき「ビジネスに通ずる クリエイティブ発想の本質を明かす」の記事で紹介した本だ。5位には、福祉の世界で活躍するコピーライターが自身の仕事を語った本が入った。
八重洲ブックセンター本店
1位は、大学生向けの就活塾を経営する企業の社長が明かす内定獲得メソッドの本。2位は3月に同書店を訪れたときに「出口治明氏が地政学入門 歴史から示す日本の立ち位置」の記事で紹介した本、3位は2月に同書店を訪れたときに「ベゾス氏と同じ未来を見た リクルート江副氏の光と闇」の記事で紹介した本で、いずれもこの書店では息の長い売れ筋になってきた。
4位は《株・投資信託・iDeCo・NISAがわかる》と副題がついており、投資のイロハを伝授する内容。投資の入門書はこのところジャンル全体が売り上げを伸ばしているという。今回紹介した『Numbers Don't Lie』は5位だった。
リブロ汐留シオサイト店
1位は、博報堂生活総合研究所がビッグデータから生活者の見えざる価値観や欲求を探った本。その分析ノウハウを含めて詳述している。広告業界や企画系のビジネスパーソンによく売れていて、訪れたときには在庫切れになっていた。2位は、3月初め「テクノロジー最前線を解説 ベンチャー投資家の着眼点」の記事で紹介した本。先頭を走る米中の動向を最低限押さえておきたいという読者をとらえる。
同数の3位に3冊。一つは紹介した本『「自己肯定感低めの人」のための本』の類書で、自己肯定感を高めるのではなく、自分以外の力を借りて高まるようにしていく方法を説く。19年2月の刊行で、シリーズ化もされており、息長く売れている。ほかの2冊は、台湾の天才プログラマーでデジタル担当相のオードリー・タン氏の本と、買い物の未来を考察した電子商取引(EC)支援企業幹部の本。『「自己肯定感低めの人」のための本』は6位だった。
紀伊国屋書店大手町ビル店
1位は前回紹介した西川善文・三井住友銀行元頭取の一冊。金融街でもある大手町では断トツの売れゆきだ。2位は原著刊行が1972年、増補版の刊行も2009年という古い本だが、SNS(交流サイト)などで話題になり、売れているという。NHKの朝のニュースが若者の共感を集めているロングセラーとして取り上げたことで、さらに売れゆきが伸びた。3位は、気候変動問題の解決策をマルクスの新解釈を提示しながら論じた20年9月刊の新書。4位は人口の十数%いるとされる認知力の弱い人々に焦点を当てた児童精神科医の本。19年7月刊だが、20年のベストセラーとして再び注目されている。今回紹介した『英語独習法』は5位だった。
(水柿武志)