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アダストリアの福田三千男会長兼社長

アダストリアの福田三千男会長兼社長

カジュアル衣料大手のアダストリアが新たなビジネスモデルを模索している。全国のショッピングセンター(SC)内などで1200店以上を展開しているが、ネット通販の普及や新型コロナウイルスにより、店舗の存在意義が問われている。福田三千男会長兼社長は岐路に立つアパレル業界にあって、「新型コロナが変わるきっかけになればいい」と述べ、新たな時代への準備を社員に促している。

適時・適価・適量 19年度も増益に

――10年ほど前に商品の企画から生産、物流、販売まで一貫した仕組みをつくることを目指しました。振り返ってみて成果はどうでしょうか。

「当社も含めてチェーン展開していた企業では、かつて商社やOEMメーカーが生産を担っていました。同じようなものを作り、チェーンごとの差別化がなかったのです。世界のファストファッションが参入してきたときも、商品の作り方を知らなかったので、売価を落とすことしかできませんでした。私はこれでは危ないと思い10年ほど前『チェンジ宣言』をしました」

「かつては発注するだけでしたが、今は生産まで入り込み、サプライチェーンがつながりました。『適時・適価・適量』との方針を立て、2019年度も増益を達成しました。売り上げの成長を追うよりも、時間をかけて製造原価の中身を変えてきました。変え終わったと思った矢先に、今回のコロナが来ました」

――国内1200以上ある全店が6月初めまでに再開しましたがコロナ前のように消費が戻ることは考えにくい状況です。ビジネスモデルをどう変えますか。

「もともと変わらないといけなかった。コロナがその契機になってくれればいいと思います。日本で変わり目だと思っているのは、これまで毎年、膨大な衣料品が市場に投入され、多くの未消化(売れ残り)が発生している問題です」

「(ショッピングセンター=SCの)デベロッパーにも問題があります。アパレルのテナントを多数導入しており、集客をして売ってほしいと言います。アパレルは値引きセールをする。値引きするから利益が足りずまた仕入れる。そして商品が残ってしまうという構図もあります」

「コロナの影響で(アパレルなどの)店舗閉鎖が進む可能性があります。中小SCも危なくなるかもしれません。この先、リアル店舗がどうなっていくのか、誰もが分からない。米国でもどんどん閉鎖しています。リアル店舗のポジションは何なのかとの問いが突きつけられています」

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