2013/11/10

ブームの予感(日経MJ)

いずれの単品食べ放題も狙いは話題づくり。アントステラは「人通りの多い立地で知名度を高め、他店への波及効果を期待している」という。せんだい屋は工場に近い山梨県の店では、納豆の詰め放題イベントをしている。だが、「都内に納豆を大量に送ると採算が合わない。納豆がさほど必要ない販促策として食べ放題を選んだ」という。

単品食べ放題、最後は東京・神田の「THE・有鳥天酒場」。店は30~40歳の仕事帰りの会社員であふれる。お通しと料理、飲み物を注文すると100円で鶏肉の空揚げが食べ放題になる。

東京・神田の「THE 有鳥天酒場」では1.8キロの空揚げを完食した

ルールはこれまでの2店と異なり、「空揚げだけ食べるのではなく、違う食事や飲み物も注文してほしい」(店長の櫻井隆央さん)。指示に従い、冷やしトマトやビールなどもあわせて注文した。空揚げは最初は3個運ばれてきて、その後のおかわりは2個ずつ。2回ほどおかわりをすると「他の注文をお願いします」との声がかかる。

客の中には「あのペースでおかわりを催促されたら、食べ放題のお得感はない」(28歳会社員)との声もあったが、単なる「出血サービス」にせず、採算を確保するためだという。単品食べ放題にしたのは「食材を大量に仕入れることで調達コストが抑えられる」ためだ。

これまでの記録は46個。アルコールという「ガソリン」のおかげで、一気に食べ進むことができた。さほど苦しさを感じることなく50個、約1・8キロを食べ切った。

振り返ってみれば、3店すべてで記録を塗り替えてしまった。取材したことで狙いの話題づくりには一役買ったかもしれないが、自分のような大食漢がどんどん来店すると店側は大変かも、と少し心配になった。

(出口広元)

[日経MJ2013年11月1日掲載]