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永井浩二氏と座右の書・愛読書

永井浩二氏と座右の書・愛読書

手当たり次第に周りにある本を読んできた。
ながい・こうじ 1959年東京都生まれ。81年中大法卒、野村証券(現野村ホールディングス)入社。2012年グループ最高経営責任者、20年4月から現職。

ながい・こうじ 1959年東京都生まれ。81年中大法卒、野村証券(現野村ホールディングス)入社。2012年グループ最高経営責任者、20年4月から現職。

小さいころから活字中毒でした。小遣いをもらうと近所の古書店に出かけ、1冊10円や20円で売っているコナン・ドイルなどの文庫本を買ってきて読みあさっていました。マンガを読んだ記憶はほとんどありません。当時は多くの家がそうでしたが、応接の棚に文学全集が並んでいました。片っ端から読みふけり、中学を卒業するころには全部読み終わりました。祖母や母によく叱られたものです。「飾りで並べているんだから汚すな」と。

小学生の時に一番気に入ったのが、父が自分用に買ってきた、いわゆる昭和のサラリーマン小説です。山口瞳の『江分利満氏の優雅な生活』や源氏鶏太の『三等重役』には引き込まれました。振り返ると、あのころの読書体験が自分の進路を決めたように思います。将来の夢は「サラリーマンになりたい」でしたから。小説を読んで、なんだか楽しそうだからサラリーマンになりたいって、ヘンな子供でしたね。

 30代で梅原猛の著作に出合う。京都勤務の際に本人と知り合い、自宅で直接話を聞く機会もあった

梅原先生の一連の著作の中で最も影響されたのが、あるべきリーダー像を10カ条にまとめた「将たる所以(ゆえん)」です。その中に「リーダーは自利利他の精神をもたなければならない」という一節があります。自利利他とは、自分を磨きながら他人に利益を与え続けなければならないという仏教の考え方です。リーダーに大事なのは、私心があってはならないことだと学びました。

人生最大のピンチに直面したのが、従業員組合の委員長のときです。「ミディさん」と社内で呼ぶ女性営業員に、組合に加入してもらおうとしたのですが、組合員からも女性営業員からも強い反対にあいました。最後は、寝食を忘れて一緒に説得に奔走してきた専従の執行委員の全員からも「無理だからやめましょう」と突き上げられました。孤立無援とはまさにこのことですが、ここで言いました。「俺たちに私心はあるのか」と。この言葉に納得してくれて、加入を決めることができました。30歳そこそこでこの経験をしたことで、その後のサラリーマン人生で怖いと思ったことはありません。

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