コロナでもろさ 1400万人に膨張、東京の過密リスク

人口の都心回帰が鮮明になっている
人口の都心回帰が鮮明になっている

東京都の人口が1400万人を超えたって聞いたわ。政府は地方創生を掲げているのに、東京圏への人口流入は加速しているそうよ。東京一極集中は今後どうなるのかな。東京一極集中の現状と課題などについて、谷隆徳編集委員が浅井みら野さんと福島茉莉奈さんに解説した。

――現状はどうなっているのですか。

2020年5月に東京都の人口は1400万人を超えました。この20年間で200万人も増えています。資本金が1億円を超す企業のほぼ半分は東京に本社・本店を置いていますし、外資系企業の約8割が東京に拠点があります。

特に東京23区の人口が増えています。湾岸部などにタワーマンションがどんどん建設され、人口の都心回帰が鮮明になっています。埼玉、千葉、神奈川も含めた東京圏への集中を東京一極集中と呼ぶこともあります。

東京の人口が増えているのは都外からの転入者が多いためですが、最近の特徴は女性の転入が目立つことです。様々な理由があるのでしょうが、仕事の選択肢が東京は多いことが一因と言われています。女性の高学歴化が進むなかで、能力に見合うような職種が地方だと限られるのかもしれません。

――一極集中が進むとどんな問題が生じますか。

大きく3つあると思います。まず、都市と地方の格差です。日本全体の人口は08年をピークに減少しています。そうしたなかで東京への集中が進めば、地方の過疎化がさらに深刻になります。次に東京そのものが抱えるリスクです。首都直下地震がいずれ起こると予測されていますが、企業やヒトが東京に過度に集中していると、地震による被害をさらに大きくする可能性があります。

3番目は人口問題への影響です。ひとりの女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は東京が全国で最も低く、19年は1.15でした。そんな東京に若い世代がどんどん集まれば、結果的に日本の人口減少が一段と加速します。「東京の膨張が日本の縮小を招いている」ともいえるのではないでしょうか。

――国はどんな対策をとっているのですか。

安倍政権は14年に「地方創生」を掲げて、一極集中の是正に取り組み始めました。具体策としてはまず、企業の本社機能の地方移転を税財政面から後押ししています。これまでも工場の分散などを進めてきましたが、生産拠点は為替動向次第で海外に移ってしまいますし、産業構造も時代と共に変わります。工場ではなく「本社機能」の地方移転に着目した点がミソです。

政府機関の地方分散にも取り組みました。文化庁の京都移転が決まったり、消費者庁の一部が徳島に移ったりしています。元気な高齢者の地方移住策も打ち出しました。

政府は15年度から5年間を地方創生の第1期と位置付け、当時、年間10万人程度だった東京圏の転入超過数を20年にゼロにする目標を掲げました。しかし、実際には19年で14万6千人とむしろ増加しており、目標の達成を事実上、断念しました。

20年度から始まった第2期では、東京から地方に移住して地元企業に就業する人に最大で100万円を支給する「ふるさと求人」事業を本格的に始めました。地方の国立大学の定員数を増やすことなども検討しています。

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